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中小企業や個人事業主が直面する経営課題の一つが資金繰りです。売上が順調でも入金タイミングと支払いにズレが生じると、一時的な資金不足におちいることがあります。そんな時に役立つのがつなぎ資金です。つなぎ資金の基本概念から調達方法、活用する際のメリット・デメリットまで詳しく解説します。
企業経営において、売上と入金のタイミングにズレが生じることは珍しくありません。そうした際に活用されるのがつなぎ資金です。ここではつなぎ資金の基本的な概念から他の資金との違いについて解説します。
つなぎ資金は、一時的な現金不足を補う目的で調達される短期的な資金です。
売上が発生していても、目先の支払いが滞れば企業経営が成り立たなくなるため、企業が次の入金までの支払いに対応する目的で調達するものとなります。
事業資金にはさまざまな種類がありますが、つなぎ資金の最大の特徴は「一時的」という点にあります。長期間にわたって調達し続けるものではなく、あくまで短期的な資金ショートを防ぐための手段です。
通常は次の売上金や融資などが入金されるまでの「つなぎ」として利用され、入金があり次第返済することが前提となっています。そのため、明確な返済原資と計画が求められる点が特徴的です。
運転資金は仕入れ費用、人件費、水道・光熱費、家賃など事業経営に継続的に必要な資金全般を指します。事業を継続させるために日常的に発生する経費をカバーするための資金です。
つなぎ資金は運転資金の一部で、現金不足を補う特定の目的で調達する一時的な資金となります。運転資金が事業活動全般に必要な資金であるのに対し、つなぎ資金は特定の期間における資金不足を解消するための限定的な役割を持ちます。
両者の最大の違いは「継続性」にあります。
運転資金は事業を継続的に運営するために必要ですが、つなぎ資金は一時的な資金不足を補填する目的で調達するものです。
長期的な事業運営には運転資金の確保が必要となりますが、一時的な資金不足にはつなぎ資金が有効です。
つなぎ資金は法人や会社が事業運営のために利用する資金調達方法で、事業活動における一時的な資金不足を解消するために活用されます。
一方、つなぎ融資は、主に個人が住宅購入時に利用するほか、法人が不動産開発やプロジェクトの完成までの資金調達手段としても利用される短期的な融資です。住宅購入においては、住宅ローンの融資実行までの期間に必要な資金を一時的に融資するサービスとして知られています。
つなぎ資金は事業の運転資金や短期的な資金不足を補うために利用されますが、つなぎ融資は個人の住宅ローンの実行や法人の長期融資が実行されるまでの期間をカバーするという違いがあります。
どちらも「つなぎ」という名称がついていますが、利用目的や対象が異なる点に注意が必要です。
つなぎ資金はさまざまな方法で調達することが可能です。ここでは代表的な調達方法について解説します。
銀行やノンバンクからの融資は、最も基本的な資金調達方法です。銀行からの融資であれば金利1%~4%程度、ノンバンクであれば金利10%前後で融資を受けられます。
銀行融資の場合、審査が厳格で時間がかかる傾向にありますが、金利が低いというメリットがあります。一方、ノンバンク融資は審査がスピーディーで柔軟な対応が可能ですが、金利が高めになる傾向があります。
明確な返済原資と短期間で完済可能な返済計画があれば、ノンバンクやクラウドファンディングを通じて、赤字決算や事業実績のない事業者でも資金調達が可能な場合があります。状況に応じて最適な選択肢を検討することが重要です。
手形割引は、期日前の手形を手形割引業者に買い取ってもらうことで資金化し、資金調達につなげる方法です。取引先から受け取った手形の支払期日前に現金化することで、資金繰りを改善することができます。
手形割引を利用する際の注意点として、手形が不渡りになり融資額の回収ができなかった場合は、手形を売った者が弁済の義務を負う点が挙げられます。
信用性の高い企業が振り出した手形であるかどうかを見極めることが重要です。
ファクタリングは、売掛債権を買い取ってもらうことで資金調達を行う方法です。手形と異なり、通常の売掛金(請求書ベースの取引)でも利用することができるため、幅広い業種で活用されています。
短期間の資金不足を埋め合わせるためのつなぎ資金という目的では、ビジネスローンよりも調達コストが高めになる傾向があります。審査が通りやすく、スピーディーに資金調達ができる点が魅力的です。
オンライン完結型(非対面式)ファクタリングを利用することで、手数料を抑えられる可能性があります。近年はオンラインで完結するファクタリングサービスも増えており、従来よりも手数料を抑えながら迅速に資金調達できるようになっています。
つなぎ資金を活用することにはメリットとデメリットがあります。ここでは両面から解説しましょう。
つなぎ資金を用いることで、 思わぬトラブルによる資金ショートを回避することが可能です。売上が発生していても入金が遅れる場合や、急な出費が必要になった場合でも、事業継続に支障をきたさずに対応できます。
手元資金が潤沢になることで、大規模な仕入れや人員投入などの ビジネスチャンスに躊躇せず対応できるというメリットもあります。資金不足によって事業拡大のチャンスを逃すことなく、積極的な経営判断が可能になるでしょう。
加えて、会社の代表者や役員が資金調達に奔走することなく本業に集中できるというメリットもあります。
経営者が資金繰りに追われる時間を削減し、本来の事業運営や営業活動に注力できる環境を整えることができるでしょう。
つなぎ資金の金利は、調達方法によって異なり、ノンバンクやファクタリングを利用する場合は高金利となる可能性があります。 銀行融資と比較すると金利負担が大きくなるため、調達コストを慎重に検討しなければなりません。
短期間で一括返済するため、返済負担が大きくなる場合があります。特に予定していた入金が遅れた場合や、想定よりも売上が伸びなかった場合には返済が困難になるリスクがあります。
つなぎ資金の利用が頻繁になり、 返済遅延や不履行が続くと、企業の信用力に悪影響を与える可能性があります。取引先や金融機関からの信頼を失うと、将来的な資金調達がさらに困難になるという悪循環に陥る可能性も否めません。
金融機関によってはつなぎ資金の取り扱いがない場合もあり、選択肢が限られる可能性があります。急な資金需要に対応する場合、選択肢が限られることで不利な条件での調達を余儀なくされることもあり得るでしょう。
つなぎ資金を効果的に活用するためには、いくつかの重要な注意点があります。ここでは主な注意点について解説します。
つなぎ資金は短期間での返済が前提のため、確実な返済計画を立てることが重要です。返済原資が明確でない場合、返済が滞り信用問題に発展するリスクがあります。
返済原資となる売上や入金予定を正確に把握し、返済スケジュールを綿密に立てる必要があります。予定通りに入金がない場合の代替プランも用意しておくと良いでしょう。
返済が滞ると信用力の低下につながるため、余裕を持った計画が求められます。
予定より少し早めに返済できるようなスケジュールを立てることで、万が一の遅延リスクに備えることができるでしょう。
つなぎ資金の調達方法によって金利や手数料が大きく異なるため、複数の選択肢を比較検討することが重要です。表面上の金利だけでなく、実質的な負担を計算して比較するのが大切です。
金利の水準や返済期間、借り入れ限度額、返済手数料、保証料、保険料、手続き費用などを総合的に評価する必要があります。
一見金利が低くても、諸費用を含めると総コストが高くなるケースもあるため注意が必要です。
調達コストを抑えるため、自社の状況に最適な調達方法を選択しなければなりません。時間的な余裕がある場合は銀行融資、スピードが求められる場合はノンバンクやファクタリングなど、状況に応じた選択が重要です。
必要以上の金額を調達すると余分な金利負担が発生するため、適切な調達額を見極めることが重要です。資金計画を立て、本当に必要な金額だけを調達するよう心がけましょう。
つなぎ資金の利用頻度が高くなると、企業の財務健全性に疑問が生じる可能性があるため、利用頻度の管理も必要です。常につなぎ資金に頼る状況は、根本的な財務体質の改善が必要かもしれません。
長期的な資金需要がある場合は、つなぎ資金ではなく、長期融資や資本調達などの手段を検討すべきです。資金需要の性質に合わせた適切な資金調達方法を選択することが、健全な企業経営の基盤となります。
つなぎ資金は、企業が一時的な資金不足を乗り切るための重要な手段です。銀行融資、ノンバンク融資、手形割引、ファクタリングなどさまざまな調達方法があり、それぞれに特徴があります。資金繰りの改善や事業機会の確保というメリットがある一方で、高金利や返済負担、信用力への影響といったデメリットも存在します。利用する際は返済計画の綿密な策定、調達コストの比較検討、適切な調達額と頻度の管理が重要です。つなぎ資金を適切に活用することで、健全な事業運営を維持しながら成長機会を逃さない経営が可能になるでしょう。
ファクタリングの 達人編集部
自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
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