給料が払えないとどうなる?リスクや対処法について解説!

給料が払えないとどうなる?リスクや対処法について解説!

中小企業や個人事業主にとって、資金繰りの悪化による給料未払いは経営上の大きな問題点です。金銭的なリスクだけでなく、法的な制裁や企業イメージの低下など、多くの問題を引き起こす可能性も。今回は給料未払いが発生した場合のリスクや対処法について解説しましょう。

クリックできる目次

会社が給料を払えない場合のリスク

会社が給料を払えない場合のリスク

会社が従業員への給料支払いができなくなると、法的責任や経営リスクが発生します。資金繰りの悪化は一時的な問題かもしれませんが、給料未払いによって生じる問題は長期的な経営に大きな影響を与えかねません。法律違反による罰則や企業評価の低下など、さまざまなリスクを把握しておきましょう。

給料未払いは労働基準法違反で刑事罰の対象

給料未払いは労働基準法に違反する行為で、経営者には最大6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる場合があります。

法律上、賃金は全額を毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うと義務付けられており、正当な理由なく支払わない行為は法律違反です。

給料未払いの状態が継続すると、従業員からの申告により労働基準監督署による立入調査が行われるかもしれません。調査の結果、労働基準法違反が認められた場合は行政指導を受け、是正勧告が出されます。

悪質な給料未払いのケースでは、事業主が逮捕されたり、書類送検されたりするリスクも。経営状況が厳しいからといって、給料支払いを怠ることは法律上許されません。

従業員との信頼関係悪化や企業イメージの低下

給料未払いが発生すると、従業員との信頼関係が大きく損なわれます。従業員は生活のために働いており、約束した給料が支払われないことで不信感や不満が高まるでしょう。結果として、従業員のモチベーション低下や業務効率の悪化を招き、最終的には優秀な人材の流出につながります。

また、給料未払いの問題が社外に漏れると、企業イメージの著しい低下を招きます。取引先や顧客からの信用も失われ、新たな取引の減少や既存取引の打ち切りなど、事業活動全体に悪影響が及ぶ可能性も。

遅延損害金や付加金の発生リスク

給料未払いが継続すると、法律上、未払い分に対して年14.6%の遅延損害金が発生する可能性があります。長期間にわたる給料未払いの場合、遅延損害金の額は高額になることもあり、企業の財務負担はさらに増大するでしょう。

従業員が未払い賃金の支払いを求めて訴訟を起こした場合、裁判所の判断によっては未払い分と同額の付加金の支払いを命じられることがあります。未払い賃金の2倍の支払いが必要になるため、経営への打撃は非常に大きいといわざるを得ません。

給料未払い発生時の対処法

給料未払い発生時の対処法

給料未払いの状況になった場合、経営者は迅速かつ適切な対応を行う必要があります。対処法を詳しく解説しましょう。

役員報酬の減額や経営者による会社への貸付

資金不足による給料未払いの状況では、役員報酬を減額するのが有用な対処法です。役員報酬を一時的に削減または停止することで、従業員の給料支払いに充てる資金を確保しましょう。経営者自身が身を切る姿勢を示すことで、従業員からの理解も得やすくなります。

また、経営者が個人的に資金を会社へ貸し付けることも、迅速な対応策として効果的です。経営者の個人資産や個人的な借り入れによって得た資金を会社に投入することで、一時的な資金不足を乗り越えられるかもしれません。会社の状況が改善した後に返済を受ける形となります。

取引先との交渉による支払い条件の変更

資金繰りを改善するため、仕入先に対して支払いの猶予を依頼したり、支払いサイトの延長を交渉したりすることも有用な対策です。取引先と誠実に交渉することで、当面の資金負担を軽減し、従業員の給料支払いに充てる資金を確保できるかもしれません。

反対に、売掛金の回収を早めるよう顧客に協力を依頼することも効果的です。通常よりも短い支払いサイクルでの入金を依頼したり、前払いでの取引を提案したりすることで、資金繰りの改善が期待できます。

従業員への説明と理解を求める

給料未払いの状況においては、従業員に対して誠実に状況を説明し、理解を求めることが不可欠です。経営状況や資金繰りの現状、改善に向けた取り組みについて、できるだけ詳細に情報共有を行うべきです。率直に状況を伝えることが信頼関係の維持につながります。

給料の全額支払いが困難な場合は、一部前払いや分割払いなどの代替策を従業員に提案し、必ず同意を得ましょう。無断で給料支払いを遅らせるのではなく、事前に相談し、合意形成を図るのが重要です。法的には従業員の同意があっても労働基準法違反となる可能性がありますが、実務上は誠実に対応し、従業員との関係維持をはかりましょう。

有効な資金調達の方法

有効な資金調達の方法

給料未払いの状況を解消するためには、迅速かつ確実な資金調達が必要です。どのような方法があるのか詳しく解説しましょう。

銀行からの借り入れ(フリーローンなど)

銀行のフリーローンは、事業資金としても活用可能な融資商品です。最大500万円程度まで借り入れができ、返済期間は最長10年程度に設定されている場合が多いため、返済負担を軽減しながら資金を調達できます。

フリーローンの特徴は、資金使途に制限がないことです。設備投資や運転資金といった条件付きの融資と異なり、給料支払いなど緊急の資金需要にも対応できます。審査から融資実行までは数日から数週間程度かかりますが、既存取引のある銀行であれば、比較的スムーズに手続きが進むかもしれません。

銀行ローンの大きな利点は、消費者金融などと比べて金利が低く設定されていることです。

年率3〜10%程度の金利設定が多く、長期的な返済計画を立てやすいでしょう。

返済負担が比較的軽いため、経営の安定化を図りながら借り入れ金の返済を進められます。

ファクタリングによる売掛金の早期現金化

ファクタリングは、企業が保有する売掛金をファクタリング会社に売却することで、資金を調達する方法です。通常の売掛金回収を待たずに、最短即日で資金化できる点が大きな特徴。急な資金需要が発生した場合の対応策としておすすめです。

ファクタリングの利点は、借り入れではなく債権売却という形態をとるため、財務諸表上の負債増加を避けられることです。

銀行融資が難しい状況でも利用できる可能性があり、財務体質の改善にもつながります。

政府系金融機関や制度融資の活用

日本政策金融公庫は、民間金融機関からの借り入れが難しい中小企業や創業間もない企業向けの融資を行っています。審査基準が比較的柔軟で、民間銀行での融資審査に通らない場合でも利用できるかもしれません。経営状況が厳しい企業でも、今後の事業計画次第では融資を受けられるケースがあります。

制度融資は、各自治体が中小企業向けに実施している低金利の融資制度です。自治体によってさまざまな融資メニューが用意されており、資金繰り改善や経営安定化を目的とした融資制度も存在します。

地元の信用保証協会の保証付きで融資が実行されるため、企業の信用力が低くても利用しやすいといえるでしょう。

まとめ

給料未払いは労働基準法違反となり、刑事罰や行政処分をうけかねません。従業員との信頼関係悪化や企業イメージの低下、遅延損害金や付加金の発生など、さまざまな悪影響をもたらします。

対処法としては、役員報酬の減額や経営者による会社への貸付、取引先との交渉による支払い条件の変更、従業員への誠実な説明などがあります。また、資金調達方法として銀行からの借り入れ、ファクタリングによる売掛金の早期現金化、政府系金融機関や制度融資の活用を検討してもよいでしょう。

給料未払いの問題は早期に解決するのが重要です。一時的な対応にとどまらず、根本的な経営改善に取り組むことで、同様の問題の再発を防止し、持続可能な企業経営を実現するのが大切です。

この記事を書いた人

ファクタリングの 達人編集部のアバター

ファクタリングの 達人編集部

自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
当メディアでは企業の資金繰りに役立つ情報発信を行うとともに、中小企業向けにファクタリングのアドバイザリーサービスも提供しています。

クリックできる目次