返済不要の資金調達方法5選!特徴、メリット、デメリットについて解説

返済不要の資金調達方法5選!特徴、メリット、デメリットについて解説

中小企業や個人事業主にとって、資金調達は事業継続の大きな課題となります。借入金は将来の返済負担が重くのしかかり、資金繰りを圧迫する要因にもなり得ます。

しかし資金調達の中には、返済義務を負わない方法も存在します。本記事では返済不要の資金調達方法について、特徴やメリット・デメリットを詳しく解説していきます。

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返済不要な資金調達方法

返済不要な資金調達方法

返済不要の資金調達方法は、銀行融資などの負債性資金と異なり、将来的な返済義務が発生しません。そのため財務状況が悪化するリスクが少なく、長期的な視点で事業展開が可能になります。ただし、各方法にはそれぞれ特有の条件や制約があるため、自社の状況や目的に合わせて選択することが重要です。

エクイティファイナンス(株式発行・出資)

エクイティファイナンス(株式発行・出資)は、企業が株式を発行して投資家から資金を調達する方法です。

株式を取得した投資家は企業の所有者となる一方、企業側は資金提供者に対して元本返済や利息支払いの義務を負いません。

エクイティファイナンスの大きなメリットは、大規模な資金調達が可能な点です。成長性の高いビジネスモデルを持つ企業であれば、多額の資金を一度に調達できる可能性があります。自己資本が増加するため、財務体質が強化され金融機関からの信用力向上にもつながるでしょう。

一方デメリットとしては、出資者が株主として経営に関与してくる場合です。株式を発行すればするほど既存株主の持分は希薄化し、場合によっては経営の自由度が制限されることもあります。意思決定に時間がかかったり、経営方針が制約されたりする可能性も考慮しなければなりません。

補助金・助成金

補助金・助成金は、国や地方自治体、各種団体が特定の政策目的のために企業や個人事業主に提供する資金です。

事業の推進や雇用創出、技術開発、環境対策など、多くの目的に応じた制度が存在します。

補助金・助成金の最大の特徴は、審査に通過すれば返済不要の資金として利用できる点です。申請には事業計画書や各種書類の提出が必要で、審査を経て交付が決定します。

明確なメリットとして、返済義務や利息負担が一切ないことが挙げられます。そのため将来の資金繰りを圧迫する心配がなく、安定した事業運営が可能になります。公的機関からの認定という側面もあり、対外的な信用力向上効果も期待できます。

デメリットとしては、申請手続きの煩雑さや審査の厳しさがあります。多くの場合、詳細な事業計画や予算計画の提出が求められ、申請から交付までに時間がかかることも少なくありません。使途が限定されるため、自由に資金を使えない制約があります。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人々から少額ずつ資金を集める方法です。

プロジェクトやビジネスアイデアをオンラインプラットフォームで公開し、共感した人々から支援を受ける仕組みです。

クラウドファンディングには主に「購入型」「寄付型」「投資型(株式投資型)」などがあります。購入型は商品やサービスを先行予約する形、寄付型は純粋な支援、投資型は株式や社債の形で資金提供するものです。

大きなメリットは、資金調達と同時にマーケティング効果が得られる点です。プロジェクトの公開によって認知度が向上し、支援者がそのまま顧客やファンになる可能性もあります。銀行や投資家からの審査よりもハードルが低く、新規事業やアイディア段階でも資金調達が可能です。

一方デメリットとしては、目標金額に達しないと一切資金が得られないケースもあります。プロジェクトの魅力や訴求力が不足していると、十分な支援が集まらないリスクがあるのです。

ファクタリング

ファクタリングは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却して、早期に現金化する資金調達方法です。

通常は支払期日を待たなければならない売掛金を、一定の手数料を差し引いた金額で即時に現金化できます。

ファクタリングにはビジネスローンと異なり、借入ではなく債権売買という性質があるため、返済義務は発生しません。2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの2種類があり、前者は取引先に知られずに利用できる点が特徴です。

最大のメリットは、審査が比較的緩やかで迅速な資金化が可能な点です。銀行融資などと比較して企業の財務状況よりも売掛先の信用力が重視されるため、業績不振や創業間もない企業でも利用しやすいです。即日から数日程度で資金化できるため、急な資金需要にも対応できます。売掛債権の管理や回収業務をファクタリング会社に委託できる場合もあり、管理コストの削減効果も期待できるでしょう。

デメリットとしては、手数料が他の資金調達方法と比較して高額になる傾向があります。一般的に売掛金額の数%から20%程度の手数料が発生し、資金繰りが悪化している企業ほど高い手数料を要求されがちです。調達できる金額は保有する売掛債権の範囲内に限られるため、大規模な資金調達には向いていません。

遊休資産の売却

遊休資産の売却は、企業が保有する使用していない不動産や設備、在庫などを売却して現金化する方法です。

本業で活用されていない資産を整理し、その対価として資金を得るという単純明快な資金調達手段です。

最大のメリットは、完全に返済や利息負担がない純粋な資金調達が可能な点です。債務が増加せず、むしろ資産維持コストや減価償却費の削減にもつながります。バランスシート上の資産効率も向上し、財務体質の改善効果も期待できるでしょう。

デメリットとしては、一度売却してしまうと再取得が困難になる点が挙げられます。将来的に事業拡大で必要になった場合、市場価格の上昇や適切な資産の不足により再取得コストが高くなる可能性があります。継続的な資金調達には向かず、一時的な対応策として位置づけるべきでしょう。

返済不要の資金調達を行う際の注意点

返済不要の資金調達を行う際の注意点

返済不要の資金調達は魅力的ですが、それぞれの方法に特有のリスクや注意点があります。適切な方法を選択し、効果的に活用するためのポイントを理解しておきましょう。

出資者や支援者による経営への関与リスク

エクイティファイナンスやベンチャーキャピタルからの出資を受ける場合、資金提供の見返りとして経営への関与を求められることがあります。株主として議決権を持つ出資者は、取締役の選任や重要な経営判断に影響力を行使できる立場になります。

出資を受ける際は、出資比率や株主権利について慎重に検討し、契約内容を精査することが重要です。経営権確保のための議決権制限株式の活用や、株主間協定の締結なども検討価値があるでしょう。

手数料やコストの把握

返済不要の資金調達方法であっても、様々な形で手数料やコストが発生します。

例えば、エクイティファイナンスでは、株式発行に伴う登記費用や専門家への報酬、場合によっては証券会社への手数料なども考慮しなければなりません。遊休資産売却においても、仲介手数料や譲渡に係る税金が発生します。

資金調達前に、これらのコスト構造を正確に把握し、実質的な調達額とのバランスを検討することが重要です。手数料が高すぎると実際に手元に残る資金が少なくなり、調達効率が悪化します。

詐欺や悪質業者への注意

「返済不要の資金調達」というキーワードは、悪質な事業者が利用する場合もあります。特にSNSやインターネット広告などで、誇大な表現や現実離れした条件を提示するケースには注意が必要です。

ファクタリングを装った違法な融資や、クラウドファンディングを装った資金集めなど、様々な手口が存在します。返済不要を強調しながら、実際には高額な手数料や違約金が発生するような契約内容になっているケースもあります。

口頭での説明と契約書の内容が異なる場合や、契約を急かされるようなケースでは特に慎重な判断が求められます。中小企業庁や金融庁などの公的機関が公表している注意喚起の情報も確認すると良いでしょう。

まとめ

返済不要の資金調達方法は、それぞれ特徴やメリット・デメリットが異なります。エクイティファイナンスは、大規模資金調達が可能ですが経営権の希薄化リスクがあり、補助金・助成金は純粋な資金援助ですが用途制限や申請の手間がかかります。クラウドファンディングはマーケティング効果も期待できますが目標金額達成の不確実性があり、ファクタリングは迅速な調達が可能ですが手数料負担が大きい点が課題です。いずれも、自社の状況や目的に最適な方法を選択し、リスクも含めて十分に検討することをおすすめします。

この記事を書いた人

ファクタリングの 達人編集部のアバター

ファクタリングの 達人編集部

自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
当メディアでは企業の資金繰りに役立つ情報発信を行うとともに、中小企業向けにファクタリングのアドバイザリーサービスも提供しています。

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