将来債権もファクタリングの対象?利用できる要件についても解説!

将来債権もファクタリングの対象?利用できる要件についても解説!

将来的に発生する見込みのある債権をファクタリングできるのか疑問に思う経営者は少なくありません。実際に2020年の改正民法により将来債権の譲渡が明確化され、ファクタリングでの資金調達が可能になりました。本記事では将来債権ファクタリングの仕組みから実際の活用法まで解説します。

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将来債権とは?

将来債権とは?

将来債権は資金調達の世界では重要な概念です。わかりやすく説明しましょう。

将来債権の定義と特徴

将来債権とは、「将来的に発生することがほとんど確定している債権」を指し、まだ発生していないが将来発生が見込まれる権利です。

典型的な例としては、未払い賃金や家賃、継続的な取引で将来も定期的に発生する債権などが挙げられます。

売掛先との契約により、翌月・翌々月も取引が発生すると確約している場合は「将来債権がある」と捉えることができるでしょう。現時点では確定した債権ではないものの、法律上保護される権利として認められています。

既発生債権との違い

既発生債権はすでに発生している債権であるのに対し、将来債権はまだ発生していないものの、将来発生が見込まれる債権です。両者には法的な位置づけや性質に明確な違いがあります。

既発生債権では債務者はすでに義務を負っているが、将来債権では債務者の義務は将来の時点まで発生しません。つまり、既発生債権は現時点で請求権が確立されていますが、将来債権は将来の一定時点で請求権が発生する点が大きく異なります。

将来債権はファクタリングできるか?

将来債権の譲渡は、2020年の改正民法により明文化され、法律上の取り扱いが明確になったことで、ファクタリングの対象としても扱われやすくなりました。将来債権のファクタリングは、継続的な取引関係がある場合や、契約に基づく将来の売上が確実に見込める場合に利用できます。たとえば長期契約による定期的な売上が見込まれる場合や、官公庁との契約など支払いの確実性が高い案件に対して活用されています。

将来債権ファクタリングとは?

将来債権ファクタリングとは?

将来債権ファクタリングは新しい資金調達手法として注目されています。詳しく解説しましょう。

将来債権ファクタリングの仕組み

将来債権ファクタリングは継続的・反復的に発生する売掛債権を、債権が明確に発生する前に行う譲渡取引です。

未来の売上を現在の資金として活用できる点が最大の特徴といえます。

例えば、今月末に発注があって、来月10日までに納品し、再来月末日までに支払いを受けられるという状況の際に、今の時点で想定売上の将来債権があると考えて買い取る仕組みです。取引の確実性と売掛先の信用力に基づいて資金化が行われる点が重要です。

通常のファクタリングとの違い

一般的なファクタリングは既に発生した売掛債権(確定債権)が対象となりますが、将来債権ファクタリングはまだ発生していない売掛債権を対象とします。将来債権ファクタリングは、企業がより早い段階で資金を得ることが可能であり、特に新興企業や成長段階にある企業にとって魅力的な選択肢となります。事業拡大や設備投資など大きな資金需要がある場合に効果を発揮する資金調達手段といえるでしょう。

将来債権ファクタリングを利用できる要件

将来債権ファクタリングを利用するには、数年単位で売掛先と継続した取引を行っていて、今後も債権が滞りなく履行されることを証明する必要があります。

売掛先企業が優良企業、上場企業、官公庁などの場合には継続的な受注と期日通りの入金の可能性が高まるので審査では有利になると考えてよいでしょう。売掛先の信用力は将来債権ファクタリングにおいて最も重視される要素の一つです。

将来債権ファクタリングの利用には、本人確認書類、請求書、銀行通帳など取引入金の履歴が確認できる書類、決算書、損益計算書等、取引先企業との取引基本契約書などの提出が必要です。通常のファクタリングよりも多くの書類提出を求められる場合が多く、準備には時間がかかることを覚えておきましょう。

将来債権ファクタリングのメリット

将来債権ファクタリングのメリット

将来債権ファクタリングには通常のファクタリングにはない独自のメリットがあります。詳しく解説しましょう。

高額の資金調達が可能

将来債権のファクタリングは高額の資金調達ができるのが特徴で、通常のファクタリングよりも多くの資金を調達できます。複数月にわたる将来債権をまとめて売却できる点が大きなメリットです。

例えば、ある取引企業の売上が毎月80万円だった場合、通常のファクタリングでは60万円~70万円程度しか調達できませんが、将来債権を使用すると来月や再来月の債権もまとめて買い取ってもらえます。

一度の手続きで大きな資金を調達できる点は魅力的です。

6ヶ月分で300万円といった形で買い取ってもらい、まとまった資金を手に入れることが可能であり、定期的な資金調達にも対応しているので資金繰りの改善に有効です。

キャッシュフローの改善

将来債権ファクタリングを導入することで、将来発生する売上を即座に現金化することができ、実際の営業活動で必要な資金を迅速に調達できます。資金繰りの計画性が高まる点は経営上の大きなメリットといえるでしょう。

将来債権をファクタリングすると、キャッシュフローが安定し、資金繰りが楽になりやすいといえます。季節変動の大きな業種や、プロジェクト型の事業形態では特に効果的です。

銀行融資に頼らない資金調達

銀行からの融資を受ける場合、審査が厳しく、返済能力を示すための書類が必要であることが多いですが、ファクタリングは入金までの流れが比較的スムーズです。創業間もない企業や業績変動がある企業にとって大きなメリットといえるでしょう。

将来債権ファクタリングは銀行に比べて審査期間が短く、スピーディーな資金調達も可能です。緊急の資金需要や、競合他社との取引で迅速な資金確保が必要な場合などに効果を発揮します。

将来債権ファクタリングのデメリット

将来債権ファクタリングのデメリット

将来債権ファクタリングには独自のリスクやデメリットも存在します。詳しく解説しましょう。

手数料が高い

将来債権ファクタリングは一般的に手数料が高いので注意が必要です。通常のファクタリングと比較しても、高いコストを覚悟しなければなりません。

将来債権は現実的には存在していない債権であり、その回収リスクは確定債権と比較しても高いため、手数料が高くなりがちです。不確実性に対するリスクが上乗せされると考えると理解しやすいでしょう。

審査が厳しい

将来債権ファクタリングは通常の確定債権ファクタリングと比べると審査が厳しく、通過率が低いです。特に取引実績や売掛先の信用力について高い基準が設けられています。

将来債権ファクタリングの審査では、主に売掛先の信用力がチェックされ、売掛先の経営が順調であれば審査に通る可能性が高まります。

大企業や官公庁など、信用力の高い売掛先との取引がある場合は有利といえるでしょう。

将来的な資金不足のリスク

将来債権ファクタリングは分割のような方法で手数料が支払えるとはいえ、将来手に入る資金が目減りすることには違いがありません。将来の売上を前倒しで使うことによる「借金の先食い」効果には注意が必要です。

使い方を間違ってしまうと将来的に資金不足に陥ってしまうというリスクを背負うことになります。

計画性のない利用は、一時的な資金繰り改善の後に、より深刻な資金ショートを招く恐れもあります

まとめ

将来債権ファクタリングは2020年の民法改正により法的位置づけが明確になった比較的新しい資金調達方法です。まだ発生していない将来の債権を現在の資金として活用できる点が最大の特徴。

継続的な取引関係がある企業や官公庁との契約がある場合に利用できる可能性が高く、通常のファクタリングよりも高額な資金調達が可能です。一方で手数料の高さや審査の厳しさ、将来的な資金不足リスクといったデメリットも理解した上で活用すべきでしょう。

この記事を書いた人

ファクタリングの 達人編集部のアバター

ファクタリングの 達人編集部

自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
当メディアでは企業の資金繰りに役立つ情報発信を行うとともに、中小企業向けにファクタリングのアドバイザリーサービスも提供しています。

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