【悪質企業に要注意】ファクタリングの取り立ての流れ

【悪質企業に要注意】ファクタリングの取り立ての流れ

中小企業や個人事業主が資金調達する手段として、ファクタリングが注目されていますが、一部の悪質な業者による取り立てが問題となっています。債権売買としての正規の手続きと、違法行為の境界線を把握し、トラブルを回避するための知識を備えておきましょう。

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ファクタリング会社の取り立て

ファクタリング会社の取り立て

ファクタリング契約後に支払いが滞ると、業者からの催促や取り立てが始まります。正規の業者と悪質業者では、対応に大きな違いが生じるため、取り立ての基本的な流れと違法行為の見分け方を理解しておきましょう。

電話や手紙による催促から開始

ファクタリング会社は支払い期日を過ぎた場合、最初に電話や手紙での催促が行われます。未払い額や具体的な支払い期限を明確に伝え、速やかな対応を求めるのが一般的です。

正規の業者による初期段階の催促は、冷静かつ穏やかなトーンで実施されます。双方の合意に基づいた解決策を見つけるよう努め、一方的な圧力をかけるものではありません。

支払い遅延の理由を丁寧に確認し、状況に応じた対応策を提案してくれることもあります。支払いスケジュールの見直しや分割払いなど、柔軟な対応を示す業者であれば信頼性は高いといえるでしょう。

支払督促や訴訟による法的手続きへの移行

電話や手紙による催促に応じず、未払いが継続する場合、ファクタリング会社は法的手段へと移行する場合があります。債務不履行を理由とした訴訟提起や、売掛金の差し押さえ手続きなどがとられることが多いようです。

裁判所を通じた手続きは、法律に基づいた正当な権利行使となります。支払督促や訴訟が提起されると、裁判所から通知が届き、応訴するか和解するかの判断を迫られるでしょう。

法的手続きが始まると、解決までの時間とコストがかかります。早い段階での話し合いによる解決が、双方にとって望ましい結果をもたらすことを念頭に置いておかなければなりません。

悪質な取り立ての具体的事例

悪質なファクタリング業者による取り立てでは、法律の範囲を超えた違法行為が見られます。早朝や深夜の電話連絡、勤務先への直接訪問や連絡は明らかな違法行為です。

家族や親族への督促行為も禁止されています。既に弁護士に依頼して代理人となっているにもかかわらず、直接本人へ連絡を取る行為も法律違反です。いわゆる闇金業者に至っては、違法な取り立てを日常的に行うケースが報告されています。

脅迫めいた言動や暴力的な態度、執拗な電話攻撃などが特徴的で、心理的圧力をかけて支払いを迫る手口が一般的です。

ファクタリングに適用されない法規制

ファクタリングに適用されない法規制

ファクタリング取引においては、一般的な金融取引と異なり適用されない法規制があります。ただし、それは何をしても良いという免罪符ではなく、別の法的制約が存在することを理解しておかなければなりません。

貸金業法の適用外となる理由

ファクタリングは本質的に「貸付」ではなく「債権の売買契約」であるため、貸金業法の規制対象からは外れています。

そのため貸金業者に課せられる利息制限法や取り立てに関する厳格な制限事項は、直接的には適用されません。

契約形態の違いから生じるこの法的差異が、悪質な業者によって悪用されるケースも少なくありません。貸金業法の適用がないからといって、業者側が無制限に取り立てを行えるわけではないという点は覚えておきましょう。

ファクタリング取引は金融庁ではなく経済産業省の管轄となるため、相談窓口や監督体制も異なります。トラブル発生時の対応を考える際には注意が必要です。

自力救済禁止の原則の適用

ファクタリング取引においても「自力救済禁止の原則」は厳然と適用されます。この原則は法律に基づかない手段で相手から権利を回収する行為を禁止するものです。

法的手続きを経ずに債権を無理やり回収する行為や、債務者の財産を勝手に持ち去るような行為は明確に違法となります。正当な権利行使であっても、法的手続きを踏むことが必須です。

暴力的な言動を伴う取り立ては、たとえ債権が正当なものであっても許されません。債権回収は必ず法的手続きを通じて行われるべきものであり、この原則はどのような金融取引にも共通して適用されます。

悪質な取り立てと刑法上の罪

執拗な取り立てや強引な手法による債権回収行為は、場合によって刑法上の罪に問われることがあります。不当な取り立ては、単なる道義的問題ではなく、刑事罰の対象となり得るものです。

立ち去るよう求められたにもかかわらず、居座り続ける行為は不退去罪、債務者の名誉を傷つける発言は名誉棄損罪、脅迫めいた言動は脅迫罪に該当する可能性があります。違反した場合は厳しいペナルティが課されます。

法人だけでなく、取り立てを行う個人も刑法上の責任を問われますので、業者からの指示があったとしても、実行した個人が罪に問われるという点は認識しておくとよいでしょう。

悪質な取り立てをされた時の対処法

悪質な取り立てをされた時の対処法

悪質な取り立てに直面した場合、冷静に対応することが重要です。法的に認められた適切な手段で自身の権利を守り、不当な圧力から身を守るための方法を知っておきましょう。

警察への相談・通報

悪質なファクタリング会社から過度な取り立てを受けた場合、警察への相談が有効です。特に暴力や脅迫が伴う場合は迅速な通報が必要です。

警察の相談窓口「#9110」は無料で利用できるため、気軽に相談できます。緊急性がある場合は、110番通報が適切な場合もあるでしょう。

ただし、ファクタリング会社とのトラブルは基本的に民事事件として扱われるため、解決までに時間がかかる場合があります。警察は当事者間の話し合いによる解決をすすめることが多いという点も、理解しておくとよいでしょう。

弁護士への相談

悪質な取り立てに対しては、専門家である弁護士への相談が最も効果的です。弁護士は法的観点から状況を分析し、適切な対応策を提案してくれます。弁護士が代理人となれば、相手とのやり取りは基本的にすべて任せることができます。

弁護士費用は負担になりますが、無料相談を実施している事務所も多く存在します。初期相談で状況を説明し、対応策についてアドバイスを受けるのも一つの手ではないでしょうか。

証拠の収集と記録

悪質な取り立てに対抗するためには、証拠の収集と記録が不可欠です。違法行為の証拠があれば、警察や裁判所での対応がスムーズになります。

取り立ての日時、内容、対応した相手の名前、言動などを詳細にメモしておきましょう。録音や写真など客観的な証拠があればさらに効果的です。

特に電話での取り立ては録音しておくことで、後日の証拠として活用できます。ただし、録音する場合は法的制約を理解しておかなければなりません。

相手の同意を得ずに電話を録音する行為自体は、法律で明確に禁止されているわけではありませんが、録音内容に個人情報が含まれる場合、プライバシーの侵害に当たる可能性があります。特に、第三者に録音内容を公開する場合には注意しましょう。

まとめ

ファクタリングにおける取り立ては、正当な債権回収と悪質な行為の境界を理解することが重要です。正規の業者は法的手続きを遵守し、無理な取り立てを行いません。一方で悪質業者は法の抜け穴を悪用した違法行為に及ぶことがあります。

不当な取り立てに遭遇した場合は、冷静に証拠を集め、警察や弁護士に相談するのがおすすめです。ファクタリングを利用する際は信頼できる業者を選び、契約内容を十分確認することが最大の予防策となります。

この記事を書いた人

ファクタリングの 達人編集部のアバター

ファクタリングの 達人編集部

自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
当メディアでは企業の資金繰りに役立つ情報発信を行うとともに、中小企業向けにファクタリングのアドバイザリーサービスも提供しています。

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