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ファクタリング契約において「ノンリコース」と「ウィズリコース」という2つの言葉を聞いたことがあるでしょうか。今回は両者の特徴や違いを解説します。安全かつ効率的な資金調達実現のため、ぜひ最後までお読みください。
ノンリコースファクタリングは、売掛金の未回収リスクをファクタリング会社が負担する契約形態です。詳しく解説しましょう。
ノンリコースファクタリングは、売掛金が未回収になっても利用者に支払い義務が発生しない契約形態です。「償還請求権なし」を意味し、売掛先の倒産や支払い不能時のリスクをファクタリング会社が負担します。
ファクタリングの基本的な形態として広く採用されている、中小企業やスタートアップにとって効果的な資金調達手段です。売掛金を売却した企業は、債権回収の心配から解放され、本業に集中できる環境が整います。
売掛金を売却した企業は、債権の回収リスクをファクタリング会社に移転できます。契約締結時点で売掛金の所有権がファクタリング会社に移るため、以降の回収責任も同社が負うのです。
売掛先が倒産や経営不振で支払えなくなっても、利用者は返済義務を負いません。ファクタリング会社は事前の審査で売掛先の信用力を厳密に評価し、リスクを見極めた上で契約を結びます。
ウィズリコースは売掛金が未回収の場合、利用者に支払い義務が発生する契約形態です。債権回収の最終責任が利用者側に残るため、ファクタリング会社のリスクは限定的となります。
ノンリコースは回収リスクをファクタリング会社が負い、一方でウィズリコースは利用者が負担します。
両者の本質的な違いは「誰がリスクを負うか」というところにあり、契約条件やコストに大きく影響するポイントです。
ウィズリコースは手数料が比較的低く抑えられる半面、リスクは利用者側に残ります。手数料の差は一般的に数パーセントから十数パーセント程度で、資金調達の緊急性や金額によって最適な選択肢が変わってきます。
売掛先の信用力が高く、支払い遅延や倒産リスクが低い場合は、ウィズリコース契約でコストを抑える選択も合理的です。逆に売掛先の信用に不安がある場合や、確実なリスクヘッジを優先したい場合はノンリコース契約が適しています。
ノンリコースファクタリングの利用によって得られるメリットは具体的にどのようなものがあるのでしょうか。詳しくみていきましょう。
売掛先が倒産や支払い遅延しても、売掛金が回収できないリスクを利用企業が負わないため、経営の安定性が大幅に向上します。万が一の事態が発生しても、自社の資金繰りに影響が出ない点は大きな安心材料です。
特に中小企業やスタートアップなど、資金繰りが厳しい企業にとって重要なメリットといえるのではないでしょうか。大口取引先の支払い遅延一つで経営危機に陥りかねない小規模事業者にとって、リスクヘッジの効果は絶大と言えます。
ノンリコース契約では、売掛先の経営状態や支払い能力に過度に気を遣う必要がありません。取引先の財務状況を常に監視する負担から解放され、本業に集中できる環境が整います。
取引先との関係性も良好に保ちやすくなるでしょう。
支払い督促や回収交渉をファクタリング会社が担うため、ビジネス上の人間関係に影響を与えにくいというメリットもあります。
ファクタリングは融資ではなく売掛金の売却であるため、負債として計上されません。バランスシート上で借入金が増えないため、財務健全性の指標が悪化しにくいという特徴があります。
決算書や財務諸表に与える影響が小さく、企業の経営健全性を維持しやすいといえるでしょう。自己資本比率や負債比率といった財務指標への影響が限定的であるため、金融機関からの評価にも好影響を与えます。
ノンリコースファクタリングに多くのメリットがある一方で、いくつかの注意点やデメリットも存在する点を把握しておく必要があります。利用を検討する際は、メリットだけでなくデメリットもしっかりと理解した上で判断すべきです。
ファクタリング会社がリスクを負担するため、手数料は通常の融資よりも高めに設定されます。リスク移転の対価として高い手数料を支払うことになるため、資金調達コストの増加は避けられません。
ノンリコースの手数料は平均して10〜20%程度になり、ウィズリコースよりも高くなる傾向があります。債権の質や売掛先の信用力によって変動しますが、一般的な銀行融資と比較すると大幅に高いコストといえるでしょう。
売掛先の信用力や債権の性質によって手数料が変動し、信用力の低い売掛先の場合はさらに高くなります。
大企業や官公庁向けの売掛金と比べ、中小企業向けの売掛金は手数料率が高く設定されがちです。
短期的な資金繰り改善を優先する場合は許容できるコストでも、常態的に利用する場合は経営を圧迫する要因になりかねません。利用頻度や目的に応じて、他の資金調達手段との比較検討をおすすめします。
一般的に、商取引に基づく確定債権のみが対象となり、将来債権は対象外となるでしょう。既に納品・請求済みの売掛金以外は対象にならないケースが多く、資金需要と債権発生のタイミングにズレがある場合は注意が必要です。
大企業や上場企業向けの売掛金は対象になりやすく、一方で中小企業や個人事業主向けは対象外になることも。
売掛先の信用力がファクタリングの可否を左右するため、取引先の規模や業績によって利用できるかどうかが変わってきます。
売掛先の信用力に関する審査基準が厳格で、利用できる売掛金の範囲が限定される可能性があります。全ての売掛金がファクタリングの対象になるわけではないため、資金計画を立てる際は事前に対象可否を確認しなければなりません。
業種によっては契約締結が困難なケースもあります。建設業や不動産業など、下請け構造が複雑な業界では債権の所有権移転に制約が生じる場合があり、注意が必要です。
頻繁な利用は企業の財務状況や信用力に対する外部からの評価に影響を与える可能性があります。取引先や金融機関から「資金繰りに不安がある」と見なされるリスクも考慮すべきです。
銀行融資など他の資金調達手段を検討する際に、ファクタリングの利用履歴が審査に影響することがあります。金融機関によっては、ファクタリングの頻繁な利用を財務上の警戒信号と捉えるケースもあるでしょう。
一時的な資金繰りの改善は実現できますが、根本的な財務体質の改善には直結しない点に注意が必要です。長期的な事業成長を見据えた場合、ファクタリングはあくまで資金調達手段の一つとして、他の手法と組み合わせた総合的な財務戦略の中に位置づけるべきでしょう。
ノンリコースファクタリングは、売掛金の未回収リスクをファクタリング会社が負担する契約形態であり、資金繰りに不安を抱える中小企業にとって効果的な選択肢です。
売掛先の経営状態を気にせず資金調達できる点や、負債計上されないというメリットがあります。一方で手数料が高額になりやすく、対象債権に制限があるというデメリットも。
ウィズリコースファクタリングとの違いを理解し、自社の状況に応じた適切な選択をすることが重要です。長期的な資金調達戦略の一部として位置づけ、計画的に活用することで経営の安定化に役立てましょう。
ファクタリングの 達人編集部
自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
当メディアでは企業の資金繰りに役立つ情報発信を行うとともに、中小企業向けにファクタリングのアドバイザリーサービスも提供しています。