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企業経営において資金調達は重要な課題です。昨今では、銀行融資やエクイティファイナンスだけでなく、保有する資産を活用した「アセットファイナンス」という選択肢が注目されています。そこで今回は、資産価値に基づく資金調達方法として、中小企業や個人事業主にとって有力な選択肢となり得るアセットファイナンスについて解説します。
アセットファイナンスは、企業が個人が保有する資産を活用して、資金を調達する金融手法です。従来の企業全体の信用力を基準とした融資とは異なり、特定の資産価値や、そこから得られる収益に基づいて資金を確保できる点が特徴的です。中小企業や創業間もない企業にとって、銀行融資の代替手段として活用できる可能性があります。
アセットファイナンスは、企業が保有する資産を担保に、資産から生じるキャッシュフローや資産価値を基に資金を調達します。
特定の資産(アセット)に依拠した金融手法であり、企業が所有する不動産や動産、債権、知的財産権などの資産を担保として資金を調達する方法です。
担保となる特定の資産から生じるキャッシュフローを、返済の原資とすることが大きな特徴です。企業全体の経営状況ではなく、個別の資産から生み出される価値に焦点を当てる点が従来の融資と大きく異なります。
資産そのものが持つ価値と、そこから生み出される収益力を評価基準とするため、必ずしも長い業歴や信用実績が必要とされません。保有する資産の価値が高ければ、創業間もない企業であっても、相応の資金調達が可能になる場合があります。
アセットファイナンスの1つである 動産担保融資は、商品在庫や機械設備などの有形資産(動産)を担保に資金調達を行う方法です。工場の製造設備や輸送用機器、高価な医療機器なども対象となります。金融機関は担保資産に動産譲渡登記を行い、法的な担保権を設定します。
次に、 不動産担保融資は土地や建物などを担保に資金調達を行う方法です。不動産は価値評価が比較的容易で安定しているため、金融機関にとっても貸出判断がしやすい特徴があります。担保価値に応じた融資額が設定され、返済不能時には担保不動産の処分権が金融機関に移ります。
ファクタリングは、売掛債権を売却して資金調達を行う方法です。通常の取引で発生した売掛金を第三者(ファクタリング会社)に売却することで、支払期日を待たずに現金化できます。融資ではなく債権売買取引となるため、返済義務が発生しない点が大きな特徴です。
企業全体の信用力ではなく、特定の資産のみに依拠した借入です。そのため、企業の業績や財務状況が多少不安定でも、担保となる資産の価値が安定していれば資金調達が可能です。
担保は特定の資産のみで、スポンサーからは追加の担保を取らないのが特徴です。従来の融資では、経営者個人の保証や追加担保が求められるケースが多いですが、純粋なアセットファイナンスでは、対象資産以外の担保提供が不要となります。
アセットファイナンスでは、ノンリコース(非遡及)ローンとして組成される場合もありますが、場合によってはリコース(遡及権あり)ローンが用いられることもあります。ノンリコースの場合、債務不履行時の責任が担保資産に限定されるため、企業にとってリスクが限定的になる点も特徴です。
企業の資金調達には多様な選択肢がありますが、アセットファイナンスは他の調達方法と比較してどのような位置づけになるのでしょうか。主要な資金調達方法との違いを理解することで、自社に最適な選択が可能になります。
コーポレートファイナンスは、企業全体の信用力を基礎にした借入です。企業の財務状況や将来性、業績などを総合的に評価して融資判断が行われます。
一般的に、会社の信用力や物的な担保をもとに借り入れを行い、ローンは遡及権(リコース)付きで組まれます。債務不履行時には、企業の他の資産にも返済責任が及ぶため、企業全体としてのリスク管理が重要になります。
一方、アセットファイナンスは特定の資産のみからのキャッシュフローに依拠した借入で、担保は特定の資産のみです。
企業全体の信用力ではなく、個別資産の価値や収益性が評価対象となるため、企業の信用力が低くても資産価値が高ければ資金調達が可能になります。
プロジェクトファイナンスは、特定のプロジェクトから生じるキャッシュフローを返済原資とする点で、アセットファイナンスと類似しています。発電所建設や道路、鉄道など大規模インフラ整備事業への融資に多く用いられる手法です。
しかし、アセットファイナンスは既存の資産を活用するのに対し、プロジェクトファイナンスは、新規プロジェクトの資金調達に用いられる点が異なります。
アセットファイナンスが現有資産価値に依存するのに対し、プロジェクトファイナンスは将来の事業収支予測に基づく点が大きな違いです。
アセットファイナンスと比較すると、プロジェクトファイナンスはより複雑な構造を持ち、多数の関係者が関与する傾向があります。スポンサー企業だけでなく、建設会社、運営会社、保険会社など多くのステークホルダーが関与し、契約関係も複雑化する傾向にあります。
資金調達手段として注目されるアセットファイナンスですが、他の調達方法と同様にメリットとデメリットが存在します。自社の状況に合わせて最適な選択をするために、両面から理解しておくことが重要です。
財務改善につながります。資産を売却することで貸借対照表から資産が減少し、現預金が増加してROA(総資本利益率)が向上します。 収益性が変わらなくても分母となる総資産が減少するため、結果的に資産効率の向上につながる効果があります。
資産の売却型アセットファイナンス(例: ファクタリングやリースバック)を利用する場合は、 返済不要で現金を得られるメリットがあります。ただし、融資型(例: 不動産担保融資、動産担保融資)の場合は返済義務が伴います。売却型では負債増加を避けられるため、財務バランスを維持したまま資金調達が可能です。
また、他の資金調達方法と比べて スピーディに資金調達ができます。特にファクタリングは審査が比較的簡易で、最短即日での資金化も可能な場合があります。緊急の資金需要に対応できる点は大きな利点といえるでしょう。
さらに、起業間もない中小企業やベンチャー企業など、 企業としての信用度が低い場合でも、価値がある資産を持っていれば利用できるメリットがあります。創業期の信用力不足を補う調達手段として、事業成長を支える役割を果たしてくれるでしょう。
銀行融資を利用しにくい企業にも適しています。業歴が短い企業や特殊な業種、業績変動が大きい企業など、従来型の銀行融資では審査が厳しくなりがちな場合でも、資産価値に基づく調達が可能になります。
ただし、期待通りの資金調達を行えない場合もあります。資産の信用力によっては、 期待しているような金額の資金調達に繋がらない可能性があるのです。市場環境や経済状況により資産評価が変動し、当初想定した調達額を確保できないケースもあり得ます。
また、 担保にした資産を失うおそれがあります。会社の資金繰りが悪化すると、金融機関から差し押さえを実行されることがあります。事業継続に必要不可欠な資産を担保提供する場合は、返済計画を慎重に策定する必要があります。
調達できる資金は、資産の価値およびその資産から生じるキャッシュフローにより制限されます。保有する資産の価値が低かったり、安定した収益が見込めなかったりする場合、借り入れ可能な金額が少なくなる可能性があるでしょう。 大規模な資金需要には対応しきれない点はデメリットの1つです。
効果的な資金調達を実現するためには、アセットファイナンスを利用する際の注意点をしっかり理解しておく必要があります。適切な準備と検討を行うことで、トラブルを回避し最大限のメリットを享受できます。
保有している資産の価値がよく分からない場合は、事前に入念な下調べを行う必要があります。過大評価は期待外れの調達結果を招き、過小評価は資金調達機会の損失につながります。
不動産の場合は、固定資産税評価額や相続税評価額、似たような物件の市場価格をチェックするなど、適切な評価が重要です。必要に応じて専門の不動産鑑定士による評価を受けることも検討しましょう。
資産価値が上下しやすい場合や、資産の信用度が低い場合には、期待通りの資金調達ができない可能性があります。市場価格変動の大きい資産や特殊な資産は、評価額に幅を持たせた現実的な計画立案が望ましいでしょう。
資金調達にかかるコストについて検討することが必要です。アセットファイナンスには手数料が伴うため、これが全体のコストにどのように影響するかを考慮に入れる必要があります。
融資型では金利負担、売却型では割引料や手数料が発生します。
ファクタリングの場合、売掛債権のリスクが大きい、短期間での資金調達を必要としているなどの場合、その分手数料が上乗せされることがあります。債務者の信用力が低い場合や、即日資金化を希望する場合は割引率が高くなるため注意しましょう。
手数料率は、事業者やタイミングによってさまざまであり、その都度割合を確認することが重要です。複数の業者から見積りを取得して比較検討することで、最適な条件での取引が可能になります。
全ての企業にアセットファイナンスが適しているわけではありません。では、どのような企業がアセットファイナンスを活用すべきか、その特性を理解することで最適な資金調達手段の選択が可能になります。
アセットファイナンスは、資産を大量に保有している企業に向いている資金調達方法です。潤沢な資産を持ちながら現金に制約がある企業にとって、貸借対照表改善の有力な手段となります。
優良企業の売掛債権や不動産のような資産を多く所有している企業は、負債を増やさず資金調達が可能です。
特に信用力の高い取引先への売掛金や、立地条件の良い不動産は高い評価を得やすく、調達条件も有利になる傾向があります。
アセットファイナンスには、船舶ファイナンスや航空ファイナンスといった特定の資産を対象とする手法もあります。また、工場に設置される大規模な機械設備などの動産を活用した「動産担保融資」や「リースバック」も資金調達方法として効果的です。
価値があり当面必要としない保有資産がたくさんある企業は、アセットファイナンスが適しています。活用されていない資産を資金化することで、事業資金の確保と資産効率の向上を同時に実現できます。
使わない資産をただそのまま保有していても、会社の利益向上には寄与しません。遊休不動産や余剰設備などは、維持管理コストのみが発生し収益貢献がない状態です。そうした状況を是正し、資金化によって新たな投資機会を創出できます。
資金繰りに困っていて、必要のない保有資産がたくさんある場合は、価値があるうちに資金化することで効率よく資金を増やすことができます。
特に、事業再構築や業態転換を検討している企業にとっては効果的で、不要資産の処分と新規事業資金の確保を同時に実現できる手段といえるでしょう。
アセットファイナンスは企業が保有する資産を活用した資金調達方法であり、特定の資産価値やキャッシュフローに基づいて資金を確保できる点が特徴です。動産担保融資や不動産担保融資、ファクタリングなど様々な形態があり、企業の保有資産に応じて最適な手法を選択できます。
従来の企業信用力に依存する融資と比較して、資産価値に焦点を当てる点が大きな違いです。財務改善効果や迅速な調達が可能である反面、資産価値変動リスクや担保資産喪失リスクなどのデメリットも存在します。資産価値の適切な評価やコスト検討を十分に行い、自社に最適な資金調達手段として活用することが重要です。
ファクタリングの 達人編集部
自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
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