銀行融資のリスケとは?リスケ中でも利用可能な資金調達方法を解説

銀行融資のリスケとは?リスケ中でも利用可能な資金調達方法を解説

資金繰りが厳しい状況に陥った中小企業にとって、銀行融資のリスケジュール(リスケ)は経営を立て直すための重要な選択肢です。リスケ中は新たな資金調達が困難になるため、代替手段を知っておくことが経営継続の支えとなります。今回は、リスケの概要から代替資金調達方法まで、現実的な対応策を解説しましょう。

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銀行融資のリスケとは?

銀行融資のリスケとは?

銀行融資のリスケジュールは、事業継続を図るために返済条件を見直す手続きです。一時的な資金繰り悪化に対して返済負担を軽減し、経営改善のための猶予期間を設ける重要な制度となっています。

リスケの概要と目的

銀行融資のリスケとは借入金の返済条件を見直し、返済期間延長や月々の返済額減額を行うことが可能な仕組みです。

通常の返済計画では厳しい状況に直面した企業に対し、金融機関が柔軟に対応する制度として活用されています。

リスケは資金繰りが一時的に厳しい企業に対し、返済猶予を与え経営改善の時間を確保する仕組みです。返済期間の延長や毎月の返済額減額により、手元資金の確保と事業継続の両立を図るための施策となります。

リスケ中の資金調達の制約

リスケ中は借り手が「要注意先」に分類され、新規の銀行融資申込は原則として受け付けられません。金融機関の内部格付けが低下するため、追加融資の審査ハードルが大幅に上昇する状況となるでしょう。

中小企業の場合、金融庁の努力義務により銀行は柔軟対応するものの、リスケ中の追加融資はほぼ不可能です。金融機関側のリスク管理上、既に返済に問題がある企業への新規融資は極めて慎重な判断が行われます。

銀行がリスケを認める条件

リスケ実行にあたっては一時的な資金繰り悪化でも経営基盤が健全なことが求められます。根本的な経営問題を抱えるケースよりも、外部環境変化による一時的資金不足の場合に承認されやすいといえるでしょう。

明確かつ実行可能な経営改善計画書を提出し、改善見込みを示すのが承認の鍵です。具体的な数値目標や改善策を盛り込んだ説得力のある計画が、金融機関の判断を左右する重要といえるでしょう。

銀行融資のリスケのメリット、デメリット

銀行融資のリスケのメリット、デメリット

リスケを検討する際は、短期的な資金繰り改善効果だけでなく、中長期的な影響も考慮しなければなりません。メリットとデメリットを正確に把握し、総合的な判断を行いましょう。

メリット

リスケによって月々の元金返済が減少し、手元資金を確保できます。返済負担軽減により、事業運営に必要な資金を優先的に確保でき、日常的な資金繰りの改善が期待できる点が大きな利点といえるでしょう。

金融機関が法的回収を一時停止するため、破綻・倒産リスクを回避しやすくなります。差押えや強制執行などの法的措置から保護される期間が得られ、事業継続のための猶予期間として活用できるでしょう。

返済条件を見直す期間に経営改善策を実行し、財務体質を整える時間を得られます。

資金繰り改善と同時に、事業構造や経営体制の見直しを進め、企業体質強化に取り組む機会となります。

デメリット

リスケ期間は通常6ヶ月から1年程度と期限が限定されるため、長期的資金繰り改善には不十分かもしれません。根本的な経営課題解決には短すぎるケースも多く、追加対策が必要になる場合が考えられます。

延長された返済期間に伴い総返済金額が増加し、利息負担が増える可能性があります。返済期間延長によって総支払額が膨らむため、長期的な財務計画において考慮しなければなりません。

リスケ中は金融機関のモニタリングが強化され、定期的な経営報告など負担が増加します。経営状況の詳細な報告義務や改善計画の進捗確認など、金融機関との連絡や報告業務が増える点も考慮しましょう。

注意点

リスケ申請の前に他の資金調達手段を検討し、自転車操業を避けることが重要です。リスケはあくまで一時的な猶予措置であり、根本的な経営改善策と組み合わせて実施する必要があります。

リスケは信用格付け低下につながるため、情報漏洩を防止し取引先への影響を最小化しなければなりません。

取引先や仕入先に情報が広まると取引条件悪化リスクもあるため、情報管理に留意しましょう。

リスケ中の資金調達方法

リスケ中の資金調達方法

リスケ中は通常の銀行融資が困難になるため、代替的な資金調達手段を確保しておくことが経営安定化につながります。状況に応じた最適な調達方法を選択しましょう。

不動産担保ローン

リスケ中でも不動産担保を提供することで新たな融資を受けられる場合があります。銀行以外のノンバンクや不動産担保専門の金融会社では、リスケ中の企業に対しても、物件価値を重視した融資審査が行われます。

担保評価額の範囲内で比較的大口の資金調達が可能で、審査スピードも比較的速いことが特徴です。不動産価値が高い場合、数千万円規模の資金調達も視野に入り、事業継続や設備投資にも対応できるかもしれません。

リースバック

リースバックにより工場や機械などを売却し資金を調達した後、賃貸契約により継続利用できる方法も有効です。所有権は移転するものの、事業継続に必要な設備をそのまま使用できる点が大きなメリットとなります。

自宅など個人資産をリースバックし、家賃支払いで住居を確保しながら資金を得ることも可能です。事業用資産だけでなく、経営者個人の資産活用も視野に入れることで、調達可能額の拡大が期待できます。

ファクタリング

ファクタリングは売掛金をファクタリング会社に売却し、売掛債権を即日現金化できる手法です。通常2〜3週間先の入金予定を前倒しして資金化できるため、短期的な資金繰り改善に効果的といえます。

担保や保証人不要であり、財務状況が悪化した企業でも利用ハードルが低いことが特徴です。自社の信用力ではなく売掛先の信用力が評価対象となるため、リスケ中でも利用しやすい資金調達手段といえるでしょう。

主な審査は取引先への信用度で行われるため、優良な取引先を持つ企業は迅速に資金調達できます。大手企業や官公庁との取引がある場合は特に有利で、審査通過率も高くなるといえるでしょう。

手段ごとの比較と選び方

手段ごとの比較と選び方

資金調達方法の選択には、自社の状況や資金ニーズ、返済能力を考慮した総合的判断が必要です。コスト、スピード、難易度などの観点から最適な手段を選ぶことが重要になります。

コスト面での比較

不動産担保ローンは低金利で大口調達が可能だが、担保リスクがある場合が多いという特徴があります。金利面では有利ですが、返済不能時に担保物件を失うリスクと常に隣り合わせであると考えておかなければなりません。

リースバックは売却価格とリース料のバランスで実質コストが決まり、長期的には高コストとなる場合があります。即時の資金化メリットと長期的なコスト増を比較検討し、全体最適の観点から判断するとよいでしょう。

ファクタリングは手数料が高めですが、担保や保証人が不要で即時資金化できるメリットがあります。一般的に手数料率は数%〜10%台と割高なので、審査のシンプルさと即時性のバランスを考慮して選択しましょう。

調達スピードでの比較

ファクタリング最短即日で資金調達が可能とされるため、緊急の資金ニーズに適しています。買取審査から入金まで1〜3日程度で完了するケースも多く、急な資金需要に対応できる強みが大きいといえるでしょう。

不動産担保ローンは担保物件評価などで審査に数日から数週間かかる場合があります。物件調査や評価額算定などのプロセスが必要なため、計画的な資金調達が求められる点に注意が必要です。

リースバックは資産評価と契約手続きに1週間から1ヶ月程度を要するケースが多い状況です。物件状態確認や賃貸契約条件交渉など、複数の手続きが必要となるため、余裕を持って計画しましょう。

審査難易度と適合性

不動産担保ローンは担保価値があれば審査は比較的通りやすいが資産評価が必要となります。物件の市場価値と立地条件が重視されるため、好条件の不動産を所有している企業に適した選択肢といえるでしょう。

リースバックは物件状態や稼働状況など、資産の使用価値が審査ポイントとなります。中古市場での流動性や汎用性が高い資産ほど有利な条件となり、専門業者選定も重要な要素です。

ファクタリングは取引先の信用力が重視され、自社財務よりも売掛先の安定性が鍵となります。取引先の支払い履歴や業界での評判が審査結果を左右するため、優良顧客との取引がある企業に適した資金調達方法です。

まとめ

銀行融資のリスケは資金繰り改善の効果的手段ですが、新規融資制限というデメリットも伴います。リスケ中の企業は不動産担保ローン、リースバック、ファクタリングなど代替手段を活用することで資金調達の選択肢を広げられます。各手法の特性を理解し、自社の状況に合わせた最適な組み合わせを検討することが経営改善への近道となるでしょう。

この記事を書いた人

ファクタリングの 達人編集部のアバター

ファクタリングの 達人編集部

自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
当メディアでは企業の資金繰りに役立つ情報発信を行うとともに、中小企業向けにファクタリングのアドバイザリーサービスも提供しています。

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