経済産業省もファクタリングを推奨してるのか!?

経済産業省もファクタリングを推奨してるのか!?

中小企業や個人事業主にとって資金調達は常に大きな課題です。そんな中、銀行融資だけでなく、新たな選択肢としてファクタリングが注目を集めています。実は経済産業省もこのファクタリングに着目し、中小企業における円滑な資金調達手段であると示しています。

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ファクタリングは経済産業省に推奨されている?

ファクタリングは経済産業省に推奨されている?

近年、日本経済における中小企業の資金調達方法が多様化してきました。従来の銀行融資一辺倒から脱却し、ファクタリングなど新たな資金調達方法が広がりつつあるのです。

経済産業省は、中小企業の資金調達の多様化を促進する中で、ファクタリングも選択肢の一つとして位置付けています。

経済産業省がファクタリングを推奨する理由

経済産業省が中小企業向けの資金調達手段としてファクタリングを推奨する背景には、日本企業の銀行融資への依存度が高すぎる点があります。多くの中小企業は銀行融資を受けづらく、資金繰りに苦労している現状があるのです。

黒字でありながらも資金繰りの悪化によって倒産する「黒字倒産」の増加も大きな問題となっています。売上は順調でも、売掛金の入金タイミングと支払いのタイミングが合わないことで資金ショートを起こすケースが少なくありません。

経済産業省は中小企業の資金調達手段を多様化させるため、売掛債権の活用促進に積極的に取り組んでいます。

ファクタリングを活用することで「借入のみ」から「借入またはファクタリング」という選択肢が増え、資金繰りの安定性が高まることが期待されているのです。

2020年の民法改正による売掛債権の扱いの変化

2020年に民法が改正され、売掛債権の扱いにも変化がありました。

2020年4月1日以降に発生した売掛金の消滅時効は、権利を行使できる時から10年、権利を行使できることを知った時から5年に統一されています。

改正前の旧民法では債権の消滅時効期間は原則10年でしたが、職業によって短い期間の消滅時効が規定されていました。例えば、商人間の売買代金債権は5年、飲食料や宿泊料の債権は1年というように、業種によって異なる時効期間が設けられていました。

改正民法では「権利を行使することができる時から10年」という点は維持されていますが、時効期間が統一されたことで、業種による違いがなくなり、売掛債権の管理がしやすくなりました。時効の管理が簡単になったことで、ファクタリングにおける売掛債権の評価もより分かりやすくなっています。

そもそもファクタリングとは?

ファクタリングとは、ファクタリングサービスの運営企業に売掛債権を譲渡することで、売掛金を支払い期日前に現金化できる資金調達方法です。

通常、売掛金は取引先からの入金を待つ必要がありますが、ファクタリングを利用すれば即時に資金化が可能です。

ファクタリングには大きく分けて2者間と3者間の2種類があります。2者間ファクタリングは、資金調達を行う企業とファクタリング会社の間で完結するため、売掛先に気づかれにくく手続きが迅速です。一方で、手数料が高い傾向があるという特徴があります。

ファクタリングと売掛債権担保融資の違い

ファクタリングと売掛債権担保融資の違い

資金調達方法としてのファクタリングと売掛債権担保融資は、一見似ているようで根本的に異なる仕組みを持っています。

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項目ファクタリング売掛債権担保融資
資金調達の仕組み売掛債権の売買(譲渡)売掛債権を担保とした融資
資金の性質売買代金融資金
会計処理売掛債権の売却(オフバランス処理が可能な場合がある)借入金(負債)
信用情報への影響原則として影響なし借入金として計上されるため、信用情報に影響する可能性あり
審査の重点売掛先の信用力、売掛債権の質自社の信用力、売掛債権の質
資金調達のスピード比較的早い(最短即日~数日)比較的遅い(数週間)
手数料/金利手数料(売掛金額の数%)金利(年利数%~)
売掛金の回収リスク原則としてファクタリング会社が負担(償還請求権なしの場合)自社が負担
売掛先への通知2社間:原則不要、3社間:必要原則必要
主なメリット早期の資金調達、信用情報への影響が少ない、売掛金回収リスクの軽減売掛債権の金額を超える融資を受けられる可能性がある
主なデメリット手数料が高い場合がある審査が厳しい、売掛金の回収リスクは自社負担、信用情報への影響

資金調達の仕組みの違い

売掛債権担保融資は金融機関からの融資であるのに対し、ファクタリングは売掛金の売却という根本的な違いがあります。売掛債権担保融資では借入として扱われるため、返済義務が生じますが、ファクタリングは債権の売却取引であるため、借入にはなりません。

売掛債権担保融資では利用者の信用力や売掛先の信用力などで融資の上限が決定されます。一方、ファクタリングでは売掛金が上限となるため、企業の信用力に関わらず売掛金の範囲内で資金調達が可能です。

コスト面での違い

売掛債権担保融資の利息は金融機関によって異なりますが、相場は年利2%~10%と言われています。融資であるため、年利で計算されるのが特徴です。利用者の信用力や担保となる売掛先の信用力などによって金利が決まるのが特徴です。

ファクタリングの手数料相場は2者間で8%~18%、3者間で2%~20%となっており、契約形態によって大きく異なります。ファクタリングの手数料は期間による利息ではなく、一括で差し引かれる手数料という形で発生します。

ただし、相場から離れた手数料を要求してくる業者は悪徳業者の疑いがあるため、複数の会社から見積もりを取り、比較検討することが大切です。

審査と資金調達スピードの違い

売掛債権担保融資では決算書や登記事項証明書、納税証明書など多くの書類が必要です。金融機関は融資の判断をするため、企業の財務状況や信用力を詳細に審査します。そのため、準備する書類も多岐にわたり、手間も時間もかかることがほとんどです。

一方、ファクタリングでは通帳のコピーや売掛金に関する書類など比較的少ない書類で済みます。債権そのものを購入する形式のため、売掛先の支払い能力が審査の中心となり、資金調達側の信用情報はそれほど重視されません。

売掛債権担保融資の資金調達までのスピードは2週間~3週間程度かかるのに対し、ファクタリングは最短即日~数日程度と短期間で資金調達が可能です。急な資金需要に対応する必要がある場合はファクタリングの方が適しているといえるでしょう。

注意すべきファクタリング会社の特徴

注意すべきファクタリング会社の特徴

ファクタリングの利用が広がるにつれ、悪徳業者の存在も問題となっています。業者選びを誤ると、予想外の高額手数料や不利な契約条件に縛られる恐れがあるため、見極めのポイントを押さえておくことが大切です。

悪徳ファクタリング会社の見分け方

悪徳業者の可能性が高いファクタリング会社の特徴として、事業所・固定電話・公式サイトがないことが挙げられます。

正規の事業を行う企業であれば、事業所や固定電話を持ち、公式サイトで事業内容を明示しているはずです。

見積りを出さない、見積り内容が不明瞭なファクタリング会社も危険信号です。手数料や買取金額などの重要事項が明示されていない場合、後から予想外の負担が発生する可能性があります。契約前には必ず詳細な見積りを受け取り、内容を確認しましょう。

ファクタリングとの説明があったのに「金銭消費貸借契約」となっている場合は、悪徳業者の可能性が濃厚です。ファクタリングは債権売買であり、貸金とは異なります。

不明瞭な契約内容に注意

利用者が勘違いをしてしまうようなわかりにくい契約内容を提示してくる業者は、悪徳業者の可能性が高いです。契約書は重要な取引条件を明確に示すべきものであり、わざと理解しづらい表現を用いているようであれば警戒が必要です。

あえて重要な注意事項を小さい文字で書いたり、例外や注意事項を数多く設定していたり、わざと分かりにくい書き方をしたりといったパターンがあります。

重要な条件ほど目立たない場所や小さな文字で記載され、不利な条件が隠されていることがあるため、契約書は隅々まで確認することが大切です。

ファクタリング会社の選び方

ファクタリング会社を選ぶ際は、売買手数料の高さ、現金化までのスピード、必要書類の量、売掛債権の買取可能額、償還請求権の有無、オンライン対応の有無を比較することが重要です。自社のニーズに合った会社を選ぶことで、効率的な資金調達が可能になります。

優良な業者を選ぶには、公式サイトをチェックし、見積もりを依頼し、担当者の対応をチェックすることによって、最終的に依頼するファクタリング会社を選択します。

複数の会社から見積もりを取得し、手数料や対応の速さ、担当者の説明の分かりやすさなどを総合的に判断して決めるとよいでしょう。

まとめ

ファクタリングは経済産業省も推奨する資金調達方法として注目を集めています。銀行融資とは異なり、売掛債権を売却することで素早く資金調達ができるメリットがあります。

売掛債権担保融資との違いを理解し、適切な資金調達方法を選びましょう。悪徳ファクタリング会社に騙されないよう、事業所や公式サイトの有無、契約内容の明瞭さなどをチェックし、安心して利用できる優良業者を選択することが重要です。

この記事を書いた人

ファクタリングの 達人編集部のアバター

ファクタリングの 達人編集部

自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
当メディアでは企業の資金繰りに役立つ情報発信を行うとともに、中小企業向けにファクタリングのアドバイザリーサービスも提供しています。

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