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中小企業や個人事業主が直面する経営課題として、未払金の問題が挙げられます。資金繰りに余裕がない状況で支払期限が迫った未払金を抱えると、事業継続に支障をきたす恐れも。
そんな状況を打開する選択肢として注目されているのが、ファクタリングです。売掛金を早期に現金化できるファクタリングは、未払金解消に役立つのでしょうか。メリットとデメリット、会計処理の方法まで詳しく解説します。
ファクタリングは売掛債権を現金化する金融サービスですが、未払金問題を解決する手段として活用できるのでしょうか。詳しく解説しましょう。
ファクタリングは売掛債権を早期に現金化できるため、未払金の支払いに充当することで未払金問題を即時解決できます。通常、売掛金の回収には数週間から数か月かかりますが、ファクタリングを利用すれば最短で当日に資金化が可能です。
ファクタリングは融資ではなく売掛債権の譲渡であるため、資金使途に制限がなく未払金の支払いにも自由に利用できます。
銀行融資では資金使途が限定されるケースがありますが、ファクタリングで得た資金は企業が自由に使えるため、緊急性の高い未払金の決済にも対応可能。
未払金の支払期限が迫っている場合でも、ファクタリングを利用すれば最短即日で資金調達ができ、支払いに間に合わせられます。急な支払いが必要になった場合でも、売掛金さえあれば素早く現金化することが可能です。
ファクタリングは債務を増やさずに資金調達ができ、返済義務が発生しません。バランスシート上で負債が増えないため、財務状況を悪化させることなく資金を確保できる点が大きな利点です。
また、キャッシュフローを改善できる可能性があり、売掛債権の支払期日を待たずに早期現金化して未払金の支払いに充てることができます。売上から入金までのタイムラグを解消することで、資金繰りの安定化にもつながるでしょう。
ファクタリングは手数料が高く、通常1〜10%前後の手数料がかかるため、未払金を支払おうとしてファクタリングした結果、さらに未払金を増やす可能性も否めません。短期的な資金調達には便利ですが、手数料負担を考慮した計画が必要です。
長期的にファクタリングを利用し続けると、手数料負担が積み重なり、かえって資金繰りを難しくする場合があります。
一時的な対応としては効果的ですが、恒常的な資金繰り改善策としては他の手段も併せて検討が必要です。
また、悪徳業者も存在するため、ファクタリングの請求書や明細に消費税が含まれているかなど、契約内容を十分確認しなければなりません。高額な手数料を請求されたり、不透明な契約条件を提示されたりするケースもあるため、業者選びには慎重さが求められます。
ここからは、未払金の基本的な仕訳方法から、ファクタリングを利用した場合の特殊な仕訳まで、経理担当者が知っておくべき会計処理について説明します。
未払金は消耗品の購入やサービスの受領など、営業活動に関係しない取引で発生し、支払義務が生じた時点で計上する必要があります。買掛金と異なり、未払金は商品仕入れや材料仕入れ以外の債務を記録する勘定科目です。
例えば3万円の事務用品を後払いで購入した場合、借方に消耗品費3万円、貸方に未払金3万円と仕訳します。
購入時点で費用は発生していますが、支払いが行われていないため、未払金として負債に計上されます。
買取型ファクタリングを利用した場合、契約締結時に借方を「未収入金」、貸方を「売掛金」として仕訳しましょう。これは売掛金がファクタリング会社への債権である未収入金に変わったことを意味します。
ファクタリング会社からの入金時には、入金された金額を「普通預金」、手数料を「売上債権売却損」として仕訳してください。手数料はファクタリングサービスを利用するためのコストとして計上されます。
例えば120万円の売掛金に対して12万円の手数料でファクタリングした場合、借方に普通預金108万円と売上債権売却損12万円、貸方に未収入金120万円と仕訳するのが正解です。
売掛金が減少し、代わりに普通預金が増加しますが、手数料分だけ資産総額は減少することになります。
ファクタリング取引は「金銭債権などの譲渡」にあたるため非課税取引となり、消費税はかかりません。手数料に消費税を加算している業者がいる場合は要注意です。
会計ソフトに「売上債権売却損」の項目がない場合は、「支払手数料」「雑損失」の勘定科目で代用可能です。会計処理の一貫性を保つため、一度選んだ勘定科目は継続して使用することが望ましいでしょう。
ファクタリング契約時から現金入金までに決算期末をまたぐ場合、まだ入金されていなくても売上に税金が課されるため注意が必要です。決算前にファクタリングを検討する際は、税金面でのタイミングも考慮しましょう。
未払金が増えると企業経営にさまざまな悪影響を及ぼします。小さな問題と見過ごさず、早めに対策をとることが重要です。ここでは、未払金の増加がもたらす経営リスクについて解説しましょう。
未払金が増えると支払いが苦しくなり、経営に悪影響を及ぼしかねません。資金繰りの悪化は、新たな仕入れや投資を妨げ、企業の成長機会を損なうことにもつながります。
未払金の支払いによって事業主が「不渡り」や債務不履行になる場合があり、経営危機を招くことがあります。支払い遅延が続くと、最悪の場合、倒産に至ることもあるため早期対応が欠かせません。
売上は上がっていて帳簿上は黒字でも、入金と出金のタイミングにタイムラグが生まれると、資金ショートで倒産に追い込まれることも。売上計上と実際の入金にはずれがあるため、キャッシュフロー管理が経営の生命線となります。
未払金の支払いが滞ると、取引先からの信用を失い、取引を中止されるかもしれません。一度信用を失うと取り戻すのは非常に困難であり、事業継続に大きな支障をきたします。
支払いができなくなると、法的措置を取られ、社会的信用を失う結果になります。裁判所からの支払督促や差し押さえなどの法的手続きが開始されると、風評被害も含め企業イメージは大きく損なわれるでしょう。
未払金を正確に管理せず、資金ショートなどのトラブルが発生すると、取引先との関係悪化につながります。
長年築いた信頼関係が一瞬で崩れることもあるため、計画的な資金管理が必須です。
未払金の計上漏れや過払いなどにより、貸借対照表の未払金がマイナスになるトラブルが発生することがあります。これでは正確な財務状況の把握ができなくなり、経営判断を誤る原因になるでしょう。
また、未払金の管理が不十分だと、決算業務の遅れや決算のやり直しが必要になり、追加の人的コストが発生します。経理担当者の負担増加や外部専門家への依頼費用など、目に見えないコストもかかるでしょう。
さらに、年度をまたぐ未払金の経費精算が発生すると、経理担当者に追加作業を強いることになり、それに伴う人的コストも発生します。適切な未払金管理はコスト削減にもつながるため、管理体制の整備が重要です。
未払金の解消策としてファクタリングは役立つ選択肢です。売掛金を即時現金化できるため、緊急性の高い未払金支払いに対応できます。ただし、手数料負担や悪徳業者の存在など注意点もあるため、慎重に判断しなければなりません。
会計処理においては正確な仕訳が重要であり、ファクタリング利用時には特有の処理が必要です。未払金問題を放置すると、資金繰り悪化や信用低下など深刻な影響を招くため、早期対応と適切な資金管理体制の構築が経営安定化のためにはかかせません。
ファクタリングの 達人編集部
自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
当メディアでは企業の資金繰りに役立つ情報発信を行うとともに、中小企業向けにファクタリングのアドバイザリーサービスも提供しています。