設備投資と減価償却、キャッシュフローの関係をわかりやすく解説

設備投資と減価償却、キャッシュフローの関係をわかりやすく解説

設備投資は事業拡大や競争力強化に必要不可欠であり、経営者にとって避けて通れない道です。また、設備投資は耐用年数に応じて減価償却として処理され、キャッシュフローにも大きな影響を与えます。本記事では、設備投資と減価償却、キャッシュフローの関係性について、わかりやすく解説していきます。

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設備投資と減価償却の基礎知識

設備投資と減価償却の基礎知識

経営判断に直結する設備投資と減価償却ですが、経営者として両者の違いを理解することは、資金繰りの観点からも重要な意味を持ちます。

設備投資は大きな支出になりますが、減価償却により複数年度に費用を分けることができます。ここでは、設備投資と減価償却の基礎知識をご紹介します。

設備投資とは?

設備投資とは、企業が事業にとって必要な設備に対して行う投資のことです。工場の生産ラインや建物、重機など、長期間使用する資産の購入などを指します。

資金規模は数百万円から数億円規模に及ぶこともあるため、企業にとって大きな決断になります。

しかし、経営戦略上、設備投資は避けられません。古い設備の更新や新技術への対応、生産能力の拡大など、競争力維持にはいずれも必要です。経営者の判断で投資時期を決定する必要はありますが、失敗しないためには慎重な判断が求められます。

減価償却とは?

減価償却は、購入した設備の代金を一度に経費計上するのではなく、何年にもわたり少しずつ資産価値を減少させていくことを指します。

机や椅子から工作設備などは「減価償却資産」といい、中には耐用年数が定められているものもあります。

税法上定められた耐用年数に従い、毎年一定額を経費として計上します。

パソコンなら4年、金属製の事務机は15年など、資産の種類により耐用年数は異なります。経営者としては、設備投資時に耐用年数を考慮した上で判断することが求められます。

設備投資と減価償却の関係性

設備投資を行うと、会計処理として減価償却費が発生します。

例えば100万円の設備を購入し耐用年数が5年の場合、減価償却費は損益計算上では費用として計上され、毎年20万円を経費として計上可能です。

会計上の費用は5年間発生するため、節税にも繋がります。

減価償却費がキャッシュフローに与える影響

減価償却費がキャッシュフローに与える影響

減価償却費は実際の現金支出を伴わない費用です。利益計算には影響しますが、実際の資金繰りには影響しないのが特徴です。以下では、減価償却費がキャッシュフローに与える影響について見ていきましょう。

キャッシュフロー計算書に減価償却費をプラス計上する理由

会社が設備投資するときは実際に資金が減りますが、その後の会計では、損益計算書で減価償却費として毎年少しずつ費用を処理します。

ただし、減価償却費というのは、実際には資金が出ていくわけではありません。そこで、キャッシュフロー計算書では、減価償却費をプラスとして計算することで、実際の資金の流れを正しく表し、損益計算書とのズレを調整します。

減価償却費を加算することでキャッシュフローの差異を調整

会社の資金の動きを記録する方法には2つあり、1つは利益を計算する「損益計算書」、もう1つは実際の資金の出入りを記録する「キャッシュフロー計算書」があります。

損益計算書では、設備などが古くなる分の資金(減価償却費)を引きますが、これは実際には資金が出ていくわけではないので、キャッシュフロー計算書では逆にその分を足し戻します。こうすることで、資金の流れの差異を調整しています。

この減価償却費の加算により、実際の資金繰りがより正確に把握できるでしょう。

設備投資におけるキャッシュフローの重要性

設備投資におけるキャッシュフローの重要性

設備投資は、企業の経営状況を左右する重要な判断を伴います。以下にて、設備投資におけるキャッシュフローの重要性について見ていきましょう。

設備投資が与えるキャッシュフローへの影響

設備投資は、多額の資金を必要とするため、キャッシュフローへの影響が大きいです。数千万円規模の支出ともなってしまえば、運転資金が不足する危険も考えられます。

大胆すぎる設備投資は、企業の首を締めることにもなりかねないため、キャッシュフローへの影響は常に考慮しなければなりません。

設備投資における意思決定のポイント

前述のとおり、投資判断の意思決定においては、キャッシュフローを考慮することが重要です。設備投資により、どれだけの収益が見込めるか、投資回収にどれだけの期間が必要なのか、細かな計画が必要です。

投資の採算性だけでなく、実行時期の判断も重要になります。景気の動きや市場環境、自社の資金状況など、様々な要素を考えた上での決定が求められるでしょう。

キャッシュフロー不足に要注意

キャッシュフロー不足に陥ると、資金繰りが悪化し、事業継続が困難になる可能性も出てきます。設備投資による資金負担は、企業の存続にも関わります。

経営者として、投資実行前に細かな資金計画を立てていきましょう。必要に応じて金融機関からの借入や、設備リースの活用など、資金調達手段も考えていくことも大事です。

キャッシュフロー計算書における減価償却費の扱い方

キャッシュフロー計算書における減価償却費の扱い方

減価償却費は現金の流出を伴わないため、キャッシュフロー計算方法によって扱い方が異なります。以下では、キャッシュフロー計算書の種類ごとに減価償却費の扱い方を詳しく解説します。

キャッシュフロー計算書の種類

キャッシュフロー計算には大きく間接法と直接法が存在します。

間接法では、損益計算書の当期純利益を基に調整を行い、キャッシュフローを計算します。この方法では、営業活動によるキャッシュフローを算出する際に、非現金支出である減価償却費を調整項目として加算します。

一方、直接法では営業活動によるキャッシュフローを現金収支の流れに基いて集計します。この方法では、減価償却費を個別に表示せず、関連する現金収支に含めて計上します。

間接法による減価償却費の扱いと表示例

間接法では、非現金支出である減価償却費をプラス項目として加算します。

また、減価償却費以外にも、引当金繰入額などの非現金支出費用がある場合、それらも同様に加算させなければなりません。なぜなら、これらの費用は実際の現金流出を伴わないため、純利益から調整を行い、キャッシュフローに適正な反映をさせるためです。

表示例としては、営業活動によるキャッシュフローの項目に「減価償却費」として加算表示をします。

直接法による減価償却費の扱いと表示例

直接法では、減価償却費を個別に表示せず、関連する現金収支に含めて表示します。

例えば、減価償却費が含まれる固定資産の購入費用は、投資活動によるキャッシュフローに計上されます。

このため、営業活動によるキャッシュフローでは、減価償却費という項目が直接表示されることはありません。

まとめ

設備投資は事業の成長に欠かせません。しかし、多額の資金を要するため、キャッシュフロー管理が重要です。減価償却は設備投資の支出を分割し、財務負担を軽減する仕組みです。一方、現金支出を伴わないキャッシュフロー計算書で適切に処理する必要があります。

キャッシュフロー計算書には間接法と直接法がありますが、作成する際は企業規模やリソースに応じて、どちらで作成すべきかを決めるのがよいでしょう。

投資判断においては、キャッシュフローの安定性を確認し、回収計画を慎重に立てることが不可欠です。適切な財務管理を行い、安定した経営を実現させましょう。

この記事を書いた人

ファクタリングの 達人編集部のアバター

ファクタリングの 達人編集部

自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
当メディアでは企業の資金繰りに役立つ情報発信を行うとともに、中小企業向けにファクタリングのアドバイザリーサービスも提供しています。

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