クラウドファンディングとは?ファクタリングとの違い

クラウドファンディングとは?ファクタリングとの違い

昨今、中小企業や個人事業主の資金調達方法として注目を浴びているクラウドファンディング。インターネットを活用した、新しい資金集めの手法として広がりを見せる一方、従来からある売掛金を活用したファクタリングとの違いがわかりにくいという声もあります。

そこで今回は、両者にはどのような特徴があり、どんな場面で活用すべきなのか、それぞれの仕組みとメリット・デメリットを解説します。自社に合った資金調達方法を選ぶ際の参考になれば幸いです。

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クラウドファンディングとは?

クラウドファンディングとは?

一般的な融資や投資とは異なる新たな資金調達手段として、クラウドファンディングが広く知られるようになりました。銀行融資と比べて審査のハードルが低く、新規事業や革新的なアイデアを持つ事業者からの注目度が高まっています。

インターネットを通じて不特定多数から資金を募る

クラウドファンディングは、プロジェクトの実行者がインターネットを通じて、不特定多数の人々から資金を募る仕組みです。

プロジェクトの内容をウェブサイトで公開し、共感した支援者から少額ずつ資金を集める方法となります。資金提供者は、数十人から数万人に及ぶケースもあり、一人あたりの負担は少なくても大きな金額を調達できる点が特徴です。

企業や個人が新しいアイデアや、事業を実現するための資金を調達する手段として注目されています。従来の金融機関による審査を通らないようなプロジェクトでも、人々の共感を得られれば実現可能になるという、画期的な仕組みといえるでしょう。

有名サイトには「CAMPFIRE」や「Makuake」などがある

日本の大手クラウドファンディングサイトには、「CAMPFIRE」や「Makuake」があります。両サイトはそれぞれ特色を持ち、様々なジャンルのプロジェクトが日々立ち上がっています。「Readyfor」、「kibidango」、「GREEN FUNDING」なども人気のあるクラウドファンディングサイトです。

各サイトによって手数料率や対応カテゴリに違いがあるため、プロジェクトの内容に合わせて選ぶことが重要です。

過去に、国立科学博物館が「READYFOR」を利用し、約5.4万人の支援者から約8.8億円を超える資金を集めた事例もあります。

大規模な組織でもクラウドファンディングを活用する例が増えており、資金調達の選択肢として定着しつつあると言えるでしょう。

クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングとは?

クラウドファンディングにはいくつかの種類があり、プロジェクトの目的や支援者へのリターン内容によって分類されます。

寄付型クラウドファンディング

寄付型クラウドファンディングは、社会課題の解決に取り組む団体や個人が利用する形態です。災害復興や教育支援など、社会的意義の高い活動に適しています。

主に被災地支援、学術調査、貧困問題解決などの社会的課題に取り組むプロジェクトで活用されます。多くの人が少額ずつ寄付することで、大きな力となり社会問題の解決に貢献できる点が魅力です。

支援者は見返りを求めず、社会貢献を目的としてプロジェクトに資金を提供します。

支援者の善意に大きく依存するため、プロジェクトの魅力や透明性が重要です。

購入型クラウドファンディング

購入型クラウドファンディングは、支援者が資金を提供し、対価として商品やサービスを受け取る仕組みです。日本国内で最も普及しているタイプと言えるでしょう。

新規性や特別感のある商品・サービスの開発プロジェクトが多く、ECサイトの先行予約に近い感覚で利用できます。

支援者は通常より早く商品を入手できたり、限定品を手に入れられたりするメリットがあります。

READYFOR、Makuake、CAMPFIREなどの大手プラットフォームが存在し、様々なジャンルのプロジェクトが展開されています。製品開発からイベント開催まで幅広い用途で利用されており、最も身近なクラウドファンディングの形態と言えるでしょう。

融資型クラウドファンディング

融資型クラウドファンディングは、個人や企業が不特定多数の投資家から融資を受ける仕組みです。ソーシャルレンディングとも呼ばれ、投資の一種として人気を集めています。

投資家は元本と利息を受け取ることができ、比較的短期間でリターンを得られる特徴があります。銀行預金よりも高い利回りが期待できるため、資産運用の選択肢として注目されているのです。

事業者は運用報告書の提出が義務付けられており、透明性のある情報提供が求められます。投資家に対して定期的な事業状況の報告が必要となるため、情報開示の負担が生じる点は考慮すべきでしょう。

ファンド型クラウドファンディング

ファンド型クラウドファンディングは、特定の事業に必要な資金を投資家から募り、事業の成果に応じた配当金を受け取る仕組みです。株式投資に近い性質を持ちます。

プロジェクト完了後にリターンを得るため、長期的な視点での投資が求められます。収益が出るまでに時間がかかるプロジェクトに向いており、投資家も長期的な関わりを前提としています。

金融商品取引法の規制対象となり、プラットフォーム運営者は第二種金融商品取引業の登録が必要です。法的な規制が厳しいため、運営側の信頼性は高いと言えるでしょう。

ふるさと納税型クラウドファンディング

ふるさと納税型クラウドファンディングは、自治体や認定された団体がプロジェクトを立ち上げ、ふるさと納税制度を利用して資金を募る形態です。地域活性化や地域課題解決に特化した仕組みになっています。

寄附者は税金控除を受けられ、返礼品も受け取ることができます。

通常の寄付より税制優遇があるため、支援者にとって経済的なメリットがある点が特徴的です。

地域課題の解決や地域活性化に直接寄与できる仕組みとなっています。支援者は自分の税金の使い道を自分で選べるという満足感があり、地域との結びつきを強める効果も期待できるでしょう。

不動産クラウドファンディング

不動産クラウドファンディングは、複数の投資家から資金を集めて不動産投資を行う方法です。従来の不動産投資と比べて参入障壁が低く、小口化された投資が可能になります。

少額から始められ、物件管理の手間がなく、専門知識も必要としない特徴があります。不動産投資に興味はあるものの、まとまった資金や専門知識がない人でも始められる点が魅力です。

一般的に想定利回りが高く、手軽に不動産投資を始められる仕組みとして注目されています。定期的な家賃収入による安定したリターンが期待できるため、安定志向の投資家からの支持も集めています。

融資・貸付型クラウドファンディング

融資・貸付型クラウドファンディングは、投資家と資金を必要とする企業を結びつけるサービスです。銀行などの金融機関を介さず、直接投資家から融資を受ける形となります。

投資家は企業が支払う利息の一部を分配金として受け取り、安定的なリターンが期待できます。比較的短期間で回収できる投資として人気があり、分散投資の一環として活用されることが多いでしょう。

国内市場規模は拡大傾向にあり、2020年には1,841億円規模に達しています。今後も成長が見込まれる分野であり、金融の選択肢を広げる役割を担っているといえるでしょう。

クラウドファンディングのメリット、デメリット

クラウドファンディングのメリット、デメリット

資金調達手段としてのクラウドファンディングには、様々なメリットとデメリットが存在します。ビジネスの状況や目的に合わせて検討することが大切です。

資金調達と同時にプロモーション効果が得られる

クラウドファンディングは資金調達だけでなく、プロジェクトの宣伝効果も期待できます。多くの人の目に触れることで、知名度向上につながる点が大きな利点です。支援者とのコミュニケーションを通じて、ファンを獲得し、市場調査にもつながる可能性があります。製品やサービスの改善点を早い段階で発見できるため、商品開発の質が高まるでしょう。

プロジェクトの内容が広く公開されるため、認知度向上や新規顧客の獲得にも効果的です。マーケティング費用をかけずに宣伝効果を得られる点は、特に予算の限られた中小企業や個人事業主にとって大きなメリットといえるでしょう。

実績がなくてもチャレンジでき、返済義務のない資金調達が可能

クラウドファンディングは、企業の実績や信用情報に関わらず、アイデア次第で資金調達にチャレンジできます。実績がほとんどないような創業間もない企業でも、魅力的なプロジェクトであれば支援を集められる可能性があります。

購入型や寄付型の場合、集まった資金に対する返済義務がないため、リスクの低い資金調達方法となります。事業が失敗しても返済の心配がないため、挑戦的なプロジェクトに取り組みやすい環境が整います。

銀行融資と異なり、担保や保証人が不要で、新規事業や個人でも挑戦しやすいです。信用力や担保が乏しい場合でも、プロジェクトの内容次第で資金調達ができる点は、大きな魅力といえるでしょう。

目標金額に達しない可能性やアイデア盗用のリスクがある

All or Nothing方式の場合、目標金額に達しなければ1円も受け取れないリスクがあります。プロジェクト準備に時間と労力をかけたにもかかわらず、資金調達できない可能性があるのです。

プロジェクトの内容を公開するため、アイデアを盗用されるリスクがあります。独自性の高いビジネスモデルや製品の場合、模倣されることで競争優位性を失う恐れがあるでしょう。

資金調達までに時間がかかり、急な資金需要には対応できない場合があります。プロジェクトページの作成から支援募集期間、資金振込までに数ヶ月かかることも珍しくなく、急ぎの資金繰りには不向きといえるでしょう。

クラウドファンディングとファクタリングの違い

クラウドファンディングとファクタリングの違い

クラウドファンディングとファクタリングは、どちらも企業の資金調達手段として活用されますが、根本的な仕組みや適した状況が大きく異なります。両者の特徴を正しく理解し、自社の状況に合った方法を選択することが重要です。

以下の表では、クラウドファンディングとファクタリングの主な違いを比較しています。

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クラウドファンディングファクタリング
資金調達の目的事業の立ち上げ、新商品・サービスの開発、イベント開催など運転資金の調達、資金繰りの改善
資金提供者一般消費者、投資家、企業などファクタリング会社
資金調達の方法インターネットプラットフォームを通じて、不特定多数の人々から資金を集める売掛金をファクタリング会社に譲渡することで、売掛金回収前に資金を調達する
資金提供の見返り商品・サービス、割引券、イベント招待、出資など(寄付型の場合は特になし、投資型の場合は金銭的なリターン)特になし(売掛金の譲渡手数料が発生)
返済義務基本的に返済義務はない(投資型の場合は配当金や出資金の返還が必要、融資型の場合は返済義務あり)返済義務はない(売掛金はファクタリング会社が回収する)
審査プラットフォームやプロジェクト内容によって審査基準が異なるファクタリング会社の審査を受ける(売掛先の信用力や売掛金の回収可能性などが審査される)
手数料プラットフォーム手数料、決済手数料などがかかる売掛金譲渡手数料がかかる
メリット幅広い層から資金を集められる、宣伝効果がある、テストマーケティングになる短期間で資金調達できる、信用情報に影響しない、担保が不要
デメリット目標金額に達しない場合がある、手数料がかかる、プロジェクトの進捗状況を公開する必要がある売掛金譲渡手数料がかかる、売掛金回収リスクがある(3社間ファクタリングの場合)

資金調達の対象と方法が異なる

クラウドファンディングは不特定多数から資金を募るのに対し、ファクタリングは売掛債権を売却して資金を得ます。調達先と資金の性質が根本的に異なる点が大きな違いといえます。

クラウドファンディングはプロジェクトの実現が目的であり、ファクタリングは既存の売掛金を早期に現金化する手段となります。未来の事業に対する投資と、過去の取引から生じた債権の現金化という違いがあります。

クラウドファンディングは新規事業や製品開発に適し、ファクタリングは短期的な資金繰り改善に効果的です。

事業のフェーズや資金の用途によって、適した方法を選ぶことが重要になるでしょう。

調達にかかる時間と手続きの違い

クラウドファンディングは資金調達に1〜3ヶ月程度かかりますが、ファクタリングは最短即日での資金化が可能です。緊急の資金需要がある場合は、ファクタリングの方が適しているといえるでしょう。

クラウドファンディングは、プロジェクトページの作成や支援者とのコミュニケーションが必要ですが、ファクタリングは書類提出と審査のみとなります。手続きの簡便さという点では、ファクタリングの方が事務負担が少ないでしょう。

クラウドファンディングは、目標金額設定と期間内での達成が必要ですが、ファクタリングは売掛金額内で即時に資金調達可能となります。確実性と即時性を重視するなら、ファクタリングが優位といえるでしょう。

リスクと返済義務の有無

クラウドファンディングは、目標未達の場合に資金を得られないリスクがありますが、ファクタリングは確実に資金化できます。資金調達の確実性という点では、ファクタリングの方がリスクが低いといえるでしょう。

クラウドファンディングの購入型や寄付型は返済義務がありませんが、ファクタリングは売掛金回収時に返済が必要となります。資金の性質が根本的に異なるため、資金計画に合わせた選択が重要になります。

クラウドファンディングは、プロジェクト失敗のリスクがありますが、ファクタリングは既存債権の売却のため失敗リスクが低くなります。将来の不確実性に依存する度合いが異なるため、事業の現状に応じた選択が望ましいでしょう。

まとめ

クラウドファンディングとファクタリングは、どちらも中小企業や個人事業主にとって有用な資金調達手段です。クラウドファンディングは新規プロジェクトの資金集めとプロモーションを同時に行える点が魅力で、ファクタリングは既存の売掛金を即座に現金化できる即効性が強みです。

事業の段階や資金ニーズに応じて、適切な方法を選択することが重要です。新規事業の立ち上げや製品開発ならクラウドファンディング、急な資金需要や短期的な資金繰り改善にはファクタリングが向いているといえるでしょう。両者の特徴を理解し、状況に応じて使い分けることで、効率的な経営が可能になります。

この記事を書いた人

ファクタリングの 達人編集部のアバター

ファクタリングの 達人編集部

自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
当メディアでは企業の資金繰りに役立つ情報発信を行うとともに、中小企業向けにファクタリングのアドバイザリーサービスも提供しています。

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