ファクタリングのスキームとは?他の資金調達方法との違いも解説!

ファクタリングのスキームとは?他の資金調達方法との違いも解説!

中小企業や個人事業主が直面する資金繰りの課題を解決する手段として、ファクタリングが注目を集めています。今回は売掛金を現金化できるファクタリングの仕組みや特徴を解説します。しっかり理解すれば、事業資金の調達手段が増えるでしょう。

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ファクタリングのスキーム

ファクタリングのスキーム

ファクタリングはどういう仕組みなのか、わかりやすく解説します。

ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがある

ファクタリングの取引形態には、大きく分けて二つの種類があります。ファクタリング会社と利用者のみで行う「2社間ファクタリング」と、売掛先も含めた「3社間ファクタリング」です。

どちらを選ぶかで手続きの手間や手数料率が大きく変わってきます。

2社間ファクタリングの最大の特徴は、売掛先に承諾を得る必要がない点です。売掛先に知られることなく資金調達ができるため、取引関係に影響を与えません。手続きがシンプルでスピーディーに資金化できる一方、3社間ファクタリングと比較すると手数料が高めに設定されています。

3社間ファクタリングでは売掛先の同意が必要です。そのため手続きに時間がかかる傾向がありますが、手数料が2%~20%と比較的低く抑えられます。資金調達コストを重視する場合は3社間ファクタリングが有利となるでしょう。

2社間ファクタリングのスキーム

2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社と売掛先が直接やり取りを行いません。取引の流れとしては、売掛金発生→売掛債権をファクタリング会社に譲渡→ファクタリング会社が売却代金を支払う→売掛先から売掛金が支払われる→回収した売掛金をファクタリング会社に支払う、という流れです。

3社間ファクタリングのスキーム

3社間ファクタリングでは、ファクタリング会社と売掛先との間で取引が発生します。流れとしては、売掛金発生→ファクタリングの利用・契約を承諾→ファクタリング会社と契約→ファクタリング会社が売却代金を支払う→ファクタリング会社が売掛先に通知→売掛先から売掛金がファクタリング会社に支払われる、という流れです。

3社間ファクタリングの契約手続きは「利用申込と買取審査」「売掛先への債権譲渡通知」「契約締結」の3ステップで構成されます。売掛先の同意が必要となるため、2社間ファクタリングと比べると手続きに時間がかかります。

ファクタリングのメリット、デメリット

ファクタリングのメリット、デメリット

ファクタリングは即時の資金調達が可能ですが、メリットとデメリットを十分に理解した上で利用することが大切です。自社の状況に合わせた判断が重要となります。

ファクタリングの主なメリット

ファクタリングの主なメリットとして、最短即日で資金調達可能、自社の業績が悪くても利用可能、売掛金回収前に現金化できる、売掛先の倒産に備えることができる、信用情報に影響しない、などが挙げられます。急な資金需要に対応できる柔軟さが魅力といえるでしょう。

ファクタリングは借り入れではなく売掛債権を売却する方法であるため、負債として計上されず会社の信用情報に影響を及ぼしません。融資枠を圧迫しないため、他の資金調達手段と併用することが可能です。資金調達先の多様化という観点からも価値があるといえるでしょう。

ファクタリングの主なデメリット

ファクタリングの主なデメリットとして、売買手数料が高くなることがある点が挙げられます。2社間ファクタリングの場合は8%~18%が目安となり、通常の銀行融資の相場1%~4%を大きく上回ります。長期的な資金調達コストを考えると割高といえるでしょう。

また、売掛先の業績次第では利用できないという制約もあります。売掛金以上の資金調達はできず、分割支払いもできないという限界があるため、大規模な設備投資などには向いていません。資金調達の規模や目的によっては他の手段を検討する必要があるでしょう。

ファクタリング利用時の注意点

ファクタリングは審査に落ちる可能性があります。税金の滞納や赤字決算など自社の経営状態が悪い場合、審査に通らないリスクも。他に資金調達の手段がない状況で審査に落ちると、事業継続が困難になるかもしれません。

また、債権譲渡登記が必要なケースもあります。特に3社間ファクタリングでは取引先に知られるため、取引関係に影響するといわざるを得ません。取引先との関係性を考慮した上で判断すると良いでしょう。

市場には悪徳業者も存在するため、信頼できるファクタリング会社を選ぶべきです。手数料の透明性や実績を十分に確認してから契約を結ぶと良いでしょう。業界団体に加盟している業者を選ぶなど、信頼性の確保が大切です。

ファクタリングと他の資金調達方法との違い

ファクタリングと他の資金調達方法との違い

資金調達方法にはファクタリング以外にもさまざまな選択肢があります。それぞれの特徴を理解し、状況に応じた適切な手段を選ぶと良いでしょう。

ファクタリングと銀行融資の違い

ファクタリングは売掛債権の売却による資金調達であるのに対し、銀行融資は「融資」という性質の違いがあります。

審査方法が異なり、融資後には金利が発生し、分割払いが可能という大きな差異があります。返済負担とコスト構造を考慮した選択が必要です。

資金調達のスピードにも違いがあります。ファクタリングは最短即日で資金調達が可能ですが、銀行融資は審査に2~3週間程度の時間がかかるのが一般的です。資金調達までに1ヶ月~数ヶ月要することもあり、緊急性の高い資金需要には対応しきれないかもしれません。

また、調達可能な金額にも差があります。ファクタリングでは売掛金の金額以上は資金調達できませんが、銀行融資であれば企業の財務状況や担保などの条件を基に融資の上限額が決定されます。多額の資金調達が必要な場合は、銀行融資の方が適している場合が多いでしょう。

ファクタリングとビジネスローンの違い

ファクタリングが売掛債権の売却であるのに対し、ビジネスローンは金融機関からの借り入れです。

審査対象もファクタリングが売掛先の信用力であるのに対し、ビジネスローンは借入事業者の信用力や財務状況が重視されます。審査基準の違いを理解することが大切です。

返済義務の有無も重要な差異です。ファクタリングは売掛債権を売却する形で資金を得るため返済義務が発生しません。対照的に、ビジネスローンでは借入金の返済義務があります。コスト面でもファクタリングは「手数料」で一括負担するのに対し、ビジネスローンは「利息」として毎月の返済時に元金に上乗せして負担します。

資金調達のスピードはいずれも比較的速く、数日以内に調達できる場合が多いです。ただし、ファクタリングは負債として計上されず会社の信用情報に影響を及ぼさないのに対し、ビジネスローンは借入として計上される点が異なります。

ファクタリングとABL(動産担保融資)の違い

ファクタリングと売掛債権担保融資(ABL)の根本的な違いは、ABLは売掛を担保に「融資」を受ける行為であり、ファクタリングは売掛債権を「売却」することで資金を調達する点にあります。

法的な性質が全く異なると考えてください。

審査基準にも違いがあります。ABLは融資のため申し込みをした会社の信用力に対する審査が必要で、資金調達までに時間がかかります。赤字や税金の滞納があると利用できない場合が多いです。一方、ファクタリングは売掛先の信用が重視され、自社の信用力に関係なく資金調達できる可能性があります。

責任範囲にも差があります。ABLには「償還請求権」が存在し、担保にしていた債権が回収できなかった時には責任を負わなければなりません。対照的に、ファクタリングは債権譲渡のため基本的に返済義務は発生しません。

まとめ

ファクタリングは売掛債権を売却して資金を調達する方法で、2社間と3社間の取引形態があります。2社間は売掛先に知られずに迅速な資金調達が可能ですが手数料が高く、3社間は手数料が低いものの手続きに時間がかかります。即時の資金調達や信用情報への影響がないなどのメリットがある反面、手数料が高いというデメリットも。

銀行融資やビジネスローン、ABLなど他の資金調達方法と比較すると、調達スピードや審査基準、返済義務の有無などに違いがあります。自社の状況や資金ニーズに合わせて適切な方法を選ぶと良いでしょう。信頼できるファクタリング会社を選び、計画的に利用すれば、効果的な資金繰り改善が期待できます。

この記事を書いた人

ファクタリングの 達人編集部のアバター

ファクタリングの 達人編集部

自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
当メディアでは企業の資金繰りに役立つ情報発信を行うとともに、中小企業向けにファクタリングのアドバイザリーサービスも提供しています。

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