ファクタリングで印紙税はかかる？必要なケース、不要なケース

ファクタリングを利用する際の印紙税について理解しておくことは、余計なコストを避けるためにも重要です。売掛金を早期に資金化できるファクタリングですが、契約時には印紙税がかかるケースが一般的です。

では、どのような場合に印紙税が必要になり、どのような場合に不要になるのか、基本的な知識を身につけておきましょう。

ファクタリングで印紙税は必要？

ファクタリングは資金繰りを改善する有力な手段ですが、利用時には印紙税などの諸費用が発生します。印紙税はどのような場合に必要で、どのくらいの金額がかかるのかを把握しておくことで、予想外の出費を防ぐことができるでしょう。

印紙税の定義と課税対象

印紙税とは、経済取引に関する契約書や領収書などの文書に課される税金です。

国が定めた課税文書を作成した場合に納めなければならない税金で、文書の種類や金額に応じて税率が決められています。

ファクタリングにおいて印紙税の課税対象となるのは、「債権譲渡契約書」です。企業が売掛債権をファクタリング会社に譲渡する際に作成する契約書が、印紙税法上の課税文書に該当します。

もし、課税文書に印紙を貼らずに取引を行うと、後日税務調査などで指摘され、追徴課税されるリスクがあるため注意しましょう。

ファクタリングにおける印紙税の必要性

ファクタリング契約を締結する際、基本的には印紙税が必要になります。債権譲渡契約書を紙媒体で作成する場合、所定の印紙を貼り付けて契約を結ぶことになります。

債権譲渡契約書に印紙を貼る義務があるのは、契約書の作成者です。

通常、ファクタリング会社が契約書を用意しますが、印紙の貼付や税金の納付は契約当事者それぞれの責任で行わなければなりません。

なお、契約方法によっては印紙税が不要になるケースもあります。特に近年普及してきた電子契約を利用したオンラインファクタリングでは、紙の契約書を作成しないため印紙税が課されません。電子的に契約を締結する方法を選べば、印紙税分のコストカットが可能です。

印紙税の金額と計算方法

印紙税の金額は、債権譲渡契約書の場合、記載された金額が1万円未満であれば非課税となり、1万円以上の場合は200円の印紙税がかかります。

ファクタリングで取り扱われる債権は通常、1万円を超える金額になるため、多くの場合200円の印紙税が必要になります。契約書が複数枚にわたる場合でも、一つの契約であれば印紙は一枚だけで構いません。

契約書に適正な金額の印紙を貼って消印することで納税完了です。消印の方法は、印紙にかかるように判子を押すか、印紙にまたがって日付を記入するなどの方法があります。

ファクタリングでかかるコスト

ファクタリングを利用する際は、印紙税以外にもさまざまなコストが発生します。全体的なコスト構造を理解し、資金調達の実質コストを把握することが重要です。

ファクタリング手数料の概要

ファクタリングで最も大きなコストとなるのは、ファクタリング会社に支払う手数料になります。

手数料の相場は取引形態によって異なり、2社間ファクタリングでは債権額の8~18%％程度、3社間ファクタリングでは2~20%程度が一般的です。

手数料率は債権額の大きさや支払期日までの期間、取引先の信用力などによって変動します。大口の債権や優良企業向けの債権ほど手数料率は低くなる傾向があり、逆に小額債権や信用力の低い取引先への債権は高めの手数料率が設定されます。

ファクタリング会社によって手数料体系は大きく異なるため、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することが賢明です。

手数料だけでなく、追加料金の有無や契約条件なども含めて総合的に判断するとよいでしょう。

契約関連の追加コスト

債権譲渡登記が必要なケースでは、司法書士などの専門家への報酬と登録免許税を合わせて、最低でも5〜10万円程度の費用がかかります。

登記費用はファクタリング会社が負担するケースもありますが、その場合は手数料に上乗せされていることが多いです。

3社間ファクタリングでは、債権譲渡通知や公正証書作成などの手続きが必要になることがあり、それに伴う費用が発生する場合があります。通知費用や公正証書作成費用は、取引の規模や内容によって変わってくるでしょう。

印紙税以外にも、事務手数料や出張料、振込手数料などの諸費用がかかることがあります。契約前にこれらの追加コストについても確認し、総費用を計算しておくことが大切です。

コスト削減の方法

手数料が安いファクタリング業者を選ぶことで、全体のコストを抑えることができます。業者選びの際は、複数社から見積もりを取り、手数料率や追加費用を比較することが重要です。

大手だけでなく中小のファクタリング会社も検討対象に入れると、より条件の良い業者が見つかる可能性があります。

債権譲渡登記を行わない方法を選択したり、必要な場合でも自社で手続きを行うことでコストカットが可能です。ただし、登記を省略すると二重譲渡のリスクが生じるため、取引相手との信頼関係や取引金額を考慮して判断しなければなりません。

印紙税が不要なオンラインファクタリングとは？

印紙税を節約できるオンラインファクタリングが注目されています。電子契約を活用したこのサービスは、コスト面だけでなく利便性の面でも従来のファクタリングと一線を画しています。

オンラインファクタリングの特徴

オンラインファクタリングは、申し込みから契約まで全てインターネット上で完結するサービスです。

電子認証技術を活用した電子契約により、紙の契約書を作成せずに取引が可能になります。

電子契約を利用するため、印紙税法上の課税文書に該当せず、印紙税が不要です。紙の契約書を作成しないため、印紙を貼る必要がなく、その分のコストを削減できます。

従来のファクタリングと比較して、手続きが簡素化されており、スピーディーな資金調達が可能です。書類の郵送や対面での契約締結が不要なため、時間と手間を大幅に節約することができます。申し込みから審査、契約、入金までがすべてオンライン上で完結するため、地理的な制約もありません。

オンラインファクタリングのメリット

 印紙税が不要になることで、契約にまつわるコストを削減できます。1件あたりの印紙税は200円と少額ですが、取引回数が多い企業にとっては積み重なると無視できない金額です。

 書類のやり取りや郵送代、交通費、契約書の保管管理費用などもかからなくなるメリットがあります。電子データでの契約管理になるため、書類の紛失リスクも低減し、検索性も向上するという点もメリットといえるでしょう。

申し込みから入金までの時間差が短く、最短で即日での資金調達が可能です。急な資金需要に対応できるため、資金繰りの改善に効果的です。

オンラインファクタリング導入時の注意点

オンラインファクタリングを導入しているファクタリング会社はまだ限られています。全てのファクタリング会社がオンラインサービスを提供しているわけではないため、選択肢が制限されてしまうのは否めません。

特に、老舗の優良ファクタリング会社では、従来型の対面取引を重視しているケースが多く、オンラインファクタリングの普及率が低い傾向にあります。対面でのコミュニケーションを重視する企業文化や、システム構築のコストなどが背景にあると考えられます。

また、オンラインファクタリングを検討する際は、信頼できる業者を選ぶことが重要です。オンライン完結型のサービスであるがゆえに、悪質業者も参入しやすい市場となっています。会社の実績や口コミ、金融庁の登録状況などを確認し、慎重に業者を選定しましょう。

まとめ

ファクタリングでは基本的に印紙税が必要ですが、オンラインファクタリングを利用すれば印紙税を節約することが可能です。ファクタリングの手数料以外にも、印紙税や債権譲渡登記費用など付随するコストを事前に把握しておくことが大切です。

資金調達を効率的に行うためには、コスト構造を理解した上で、自社に適したファクタリング手法を選択することが重要になります。コスト削減と利便性、安全性のバランスを考慮し、最適なファクタリングサービスを選びましょう。